「 … 我が君 、そんなの行けません 。
あなたを守った意味がなくなってしまいます。
私は 、此処で餓死します 。」
「 … お願いです、食べてください 、」
「我が君!!!!」
あの時とおなじ怒鳴り声が、響く。
「 … 愛する人の肉を我が君は食べられますか?
お腹が空いていたとして 、貴方は伯父を食べられましたか?
私を食べられますか ?」
私は何も言えなくなった 。
「 我が君 、ごめんなさい 。
愛しています 。永遠に
この国をお守りください 。
我が子達をお守りください 。 」
その3日後 、女は私の手を握って死んだ。
私は声が枯れるほど泣いた。
伯父の死と 、村人の死と 、△△の死 、
最愛なる人々を亡くし、
打ちのめされて涙を流した。
真っ暗だった洞窟は紛争が起きていたせいなのか 、
少し隙間が空いて 、薄暗く明るくなっていた。
託されたものの重みが違うのです 。
嗚呼 、私は 、《愛している》をよく言われていたが
「愛している」といえなかった。
もう亡き女に「愛しています」と呟くも女からの返答は帰ってこなかった。
あれから月日が流れ 、女の遺体は腐り、悪臭を放って、
体が崩れて言った。
そして、虫が湧いた。シデムシや、ウジ虫が女の遺体を喰らいついていった。
私はそれをぼーっと眺めるのみだった。
「 孤独死よりかはマシ… か 、
これを見させられる私の気持ちにもなってくださいよ 、笑
…… 綺麗な髪 、」
虫を払い女の髪を拾い上げた。
「 …… おや 、」彼女が私の手を握っていた方の手に
宵のような紺色の青く輝く勾玉が握られていた 。
「 相変わらず不器用な方ですね 。」
深緑の勾玉と 、紺色の勾玉を握りしめ、また嗚咽を漏らし泣いた。
それから月日は流れ 、女の遺体も骨だけになり 、
虫たちも餓死していつしか本当の孤独になった。
虫が生きていた頃なら 、虫に話しかけていたが、
もう無の空間だけが残されていた。
かすかに哀愁が漂い 、胸が痛んだ。
今は 、骨に話しかけている日々 、
慣れてしまえば 、こんなもの 。
「 誰か居るのか ?」久々の人の声でひゅっと息を飲んだ。
「 何方ですか ?」声をかけると男と思われる人物は名を語った。
「 俺は■■という 。お主はそこで何をしておる 。」
そういえば 、私を狙って…
「 もしやお主出られぬのか 。
しばし待て 、応援を呼んでこよう 。」
しばらくして「一同力を合わせ !!せーの」と
石を引きずる音が聞こえた 。そしてその音と共に
光が差し込んだ 。
「 おや … 子供か ? … なんて匂いだ 、」
「 お主 、いつからそこにいるのだ 。」
「 … ○○年から此処へ隠れています。」
「 … そんな冗談はよせ 。本当ならお前は霊か?」
「 … 私は … 国です 、日本国です 。」
「 長年消えたと思われていたお国様か!?
なぜ貴方様が此処へ 、?」
「 狙われており 、暫く此処へ 。」
「 閉じ込められていたのか 。さぞ苦しかったものでしょう 、
そこの骨は ?」
「 私の付き添い人です 、餓死して亡くなりました 。」
「 … それをずっと眺めて100年近く此処に居られたのですか? 」
頷くと彼は私に近づき 、抱きしめた 。
「 さぞ 、辛い思いをなさったでしょう 、
よく頑張りましたね 、私たちと一緒にいらしてください 。
お国様である貴方様がここにおられては行けません 。
あなたと同じような人物が 、私の城におります 」
外に出ると 、白色にしか見えず 、目が眩んだ 。
「 眩しい…… 」外は大自然のいい匂いがした 。
「 さようなら 、愛する人よ 。」
洞窟の中の骨を見つめながら連れられて言った。
前を向く瞬間に 、一瞬だけ女の姿が見えた 。
優しく微笑み手を振っていた 。その隣には
伯父や村人達も手を振っていた 。
「 お、お国様!?どうされましたか?
何故泣いておられるのです!?」
少し経てば城に着いた。
初めて見るものばかりで心が踊った。
「 あ!!調度良いところに !!
大阪様 !!大阪様〜 !!!
日本様が見つかりました 。今宵は宴ですぞ!!」
「 えっ 、ほんまかいな !? 」
大阪 ?
「 自分は大阪言うもんです !
都道府県の擬人化っちゅうもんです!
あなたさんは日本さんやんな?!
暫く見つからんくてみんな心配しとったんですよ!
いや 〜 !会えて光栄です!! 」
彼は 、不思議な人物だった 。
その日から 、私は彼と過ごして生きた。
しかし 、やはり人々は死んでいき 、
また新しい人々が生まれ 、まるで木の葉のようだ 。
コメント
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見るの遅れすぎてごめんなさい!!!!! 今回も最高でした!!続きまってます!