※この物語はフィクションです。
実在の人物及び団体、事件などとは一切関係ありません。
〈File18:世界の重心〉
「佐伯カグヤ、君が好きだ」
その声には温度があった。
ずっと手の中で温めていたいのに、熱すぎて火傷してしまいそうな熱情が。
朝比奈が見ていたのは私の背骨なんかじゃない。
朝比奈は骨を通して人を見てる。
私を、見てる。
「……っ」
朝比奈に抱きしめられた背骨が熱い。
頭の中に直接囁くような声を振り切るために、朝比奈の胸を強く押し返した。
「仕事中よ。バカ言ってないで、依頼人を助けないと。ちょっと家の中見てくるから、あなたは通報して、そこの2人を見張ってて。できるわね?」
「……」
「朝比奈」
「……わかった」
努めて朝比奈の顔を見ないよう、リビングを後にする。
足を止めたら振り向いてしまう気がして、廊下を足早に進んだ。
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