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#異類婚姻譚
和泉
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昔の玲央と同じだったら、こんな私でも受け入れてくれるって思ってしまったんだ。
これじゃあ、私も隼人と変わらない。
有栖のことも悪く言えなくなる。
だけど私は玲央から離れることができなくて、ずっと彼の胸の中で泣いていた。
最低な自分に、酔ってしまったかもしれない。
もう、どうでもいい。
すべてを投げ出してしまいたくなった。
・・・
「隼人くん、電話中に話しかけないで。常識でしょ?」
穂乃果が家から出て行ったため、急遽、隼人から家に来てほしいと呼び出された有栖は、二人が住むマンションのリビングのソファに座っている。
有栖は本命である意中の相手に、男と一緒にいることを知られ、不機嫌だ。
「ごめん。気づかなくて」
自分の妻には強気になれる隼人も、有栖の前では借りてきたネコの状態。
好意を寄せる有栖の機嫌をとるために謝るしかない。
「せっかく遊びに来てあげたのに、なんか嫌な気分になっちゃった」
有栖は玲央に素っ気ない対応をされ、関係のない隼人に行き場のない苛立ちをぶつけるしかなかった。
「本当にごめん。今度から気をつけるから」
有栖の近くに寄り、隼人は頭を下げる。
「穂乃果は帰ってこないんでしょうね? 面倒だから、まだバレたくないんだけど」
「帰ってこないよ。安心して。ホテルに泊まるって連絡が来たから」
穂乃果から連絡など来ていない。
有栖を引き留めたいがために、隼人は嘘をついている。
「ふーん」
「だから、今日は泊まっていくよね?」
隼人は有栖と一緒に居ることができる時間を心から楽しんでいた。
「どうしよっかなー」
試すように返事をすると、隼人は
「これ。有栖さんにお小遣い」
自分の財布から三万円を取り出した。
先日、自分の母が来た時に穂乃果には秘密でもらっていた母からの支援金だった。
「えっ?くれるの?」
目の色が変わった有栖は、手を伸ばす。
「有栖さんが泊まっていってくれたらね」
隼人は金を使い、駆け引きに出た。
・・・
「玲央、ありがとう。もう大丈夫」
何分こうしていただろう。
私、どのくらい泣いてた?
久しぶりに思いっきり泣いたら、スッキリした。
心の中で隠していた本音を言葉にして現わせたからか、現実は酷いものなのに、晴れ晴れしている。
「うん」
玲央は私を優しく離してくれた。
「穂乃果、今日泊まるところなかったら、ここ使ってくれていいから。一応、泊まれるように物品はクローゼットに入れてある」
そこにあると玲央は指さしてくれた。
「ありがとう。助かる。でも、私、帰るよ」
「えっ?」
「もし今すぐ帰ったら、浮気現場を直接見ることができるかも。そしたら私に有利に別れられると思うから」
本当は見たくはない。隼人に気持ちがほとんどないとは言っても、今日まで一緒に暮らしてきた夫。好きになった人だから、そんな人が親友と浮気をしている現場なんて見たくはない。
だけど……。
「逃げたくないんだ。現実に。今までずっと夫婦の問題から逃げてた。私が我慢すれば良いって思ってたけど。もうやめる。ちゃんと決着をつけてくるよ」
私は荷物を持ち
「ありがとう。玲央」
心配そうに私のことを見つめる玲央に声をかけた。
「本当は行かせたくないけど、穂乃果が決めたことだから。途中まで送って行くよ」
玲央は私の大きなバッグを代わりに持ち、アプリを使ってタクシーを手配してくれた。
「俺、穂乃果について行きたい……。だけど、今は俺の存在が迷惑になると思うから。我慢する。俺にできることあったら、いつでも連絡して」
「うん。ありがとう。連絡する」
玲央が呼んでくれたタクシーに乗る。
隼人はいつから有栖と付き合っていたんだろう。
いつから二人で会っていたんだろう。
私が残業だった日も、彼女たちは遊んでいたのかな。
そんなことを考えていたら、すぐについてしまった。
住んでいるマンションを見上げる。
部屋には電気がついているから、隼人は確実に部屋にはいる。
すーはーと息を整えながら、エレベーターに乗り、自分の部屋の前に立つ。ゆっくりと気づかれないようにカギを回し、扉をあける。
きっと玄関には、有栖の靴があるはず。
しかし――。
あれ?
ない。私の靴と隼人の靴しかない。
もしかして私が帰ってきたことがバレた?
どこかに隠れているのかも。
私はゆっくりと廊下を進み、リビングへ向かった。
ガチャっと勢いよくドアを開ける。
そこには――。
「なっ。なんだよ。お前、どこかに泊まるんじゃなかったのか!?」
リビングのソファで寝転んでいる隼人が慌てた様子でこっちを見ている。
有栖はどこ?
絶対にあの声は有栖だったのに。
コメント
1件
うわ…この話、めっちゃゾワゾワした🥀 穂乃果が「逃げない」って決めた瞬間、本当に胸が熱くなったよ。玲央くんの優しさも切なくて…「行かせたくないけど」って言うとこ、好きすぎる。 で、帰ったら有栖の靴がない…って、まさかの展開!?隼人の慌て方と嘘、ムカつくけど、これからどうなるのか気になりすぎる… 煉彩さんの描く駆け引きと心理描写、毎回ドキドキするよ🤍