ピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピーピーピーピー
ん?なんだか苦しい……なんだ?この血みたいな味……何で血の味がするんだ?目を開きたいけど目が開かない。まるで金縛りだ。どうする?助けを呼ぶ?いや、俺は嫌われてる。誰も俺の事を好いていない。ちょっと待て……何でそんな事が分かる?俺は何でそれが分かる?何で……だ?
「ウ! ュウ! シュウ! しゅう!」
誰の声?あ、気づいたら目が開けられるようになっていた。俺は恐る恐る目を開ける。そこには俺のお母さんがいた。部屋が真っ白だ……
まさか、ここは病院?なんでだ?いろいろな事が混合してよく分からない。状況についていけない。俺はお母さんの方を見た。
「しゅう!良かった…!本当に……良かった!あなたが無事で……」
お母さんが泣き崩れる。どういうことだ……俺はこの通り大丈夫だ。あ、悪い。自己紹介がまだだったな。俺は冴島修。大学1年生だ。何でこの状況にあっているのか分からな……いや、今思い出した。俺は電車に乗って家に帰っていた。ある夏の日に。お母さんの誕生日が近かったからケーキを買っていたんだ。だけど、体が急におかしくなったんだ。目眩がして、息も苦しかった。決して熱中症ではなかった。何故ならその日は夏の終わりで少し肌寒かったからな。じゃあ、原因は何だ?その時、病室のドアがガラガラッと開いた。白衣を着た人……医者が入ってきた。
「冴島修君ですよね。先程病気の結果が出てきました。残念ながら、何の病気か分かりません。ですが、一つだけ明確な事があります。修君、あなたの余命は後一週間です。」
は?お母さんは目を見開き、涙をボロボロとこぼしながら叫んだ。
「しゅうの余命が後一週間ですって?!お願いです、なんとかしてください!しゅうの病気を治して!私の可愛い1人息子なの!お願いです!お金ならいくらでもあります!だから…」
お母さんの言葉をさえぎってお医者さんは頭をフルフルとふった。
「お母様、申し訳ございません。いくらお金があってもこの病気を治すことは不可能でしょう。この子の最期まで静かに……」
「もういい。」
俺は耐えられなくなって言った。
「「え?」」
「俺はもうこんな病院で最期の1週間を過ごしたくない。最期なら……自由にさせてくれ!」
俺は咄嗟に病室を飛び出した。病室の窓から飛び降り、夢中で走った。最期なら自由にさせてくれ。お願いだからもう俺を縛らないでくれ。神様、この1週間、俺の好きにさせてください!
「おい、そこのお前。俺たちの所に来るか?」
だ、だれだ?
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