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モンスターのスタンピートを迎え撃つべく、全体の指揮を取り作戦行動を起こす直前だった学院長、ズィナミ・ヴァーズは東門の上、壁から体を乗り出して勝手に突っ込んで行ったレイブ、ペトラ、ギレスラの戦いを、身体強化によって何十倍にも引き上げられた視力を駆使して見つめていた。
「ほー、中々上手くあしらっているじゃないかぁー、ペトラが無茶苦茶に走り回って吹き飛ばしたモンスターどもを後ろを走るレイブが一撃づつ食らわして回ってるねー、そうかっ! 逃げられないように足を折ってるんだね、あれは! 考えてるねー感心感心…… おぉ、後続のモンスターにはギレスラのブレスで足止めかい、やるじゃないか! ん? レイブとペトラが上を向いて何か叫んでいるみたいだが…… あぁ、炎系のブレスを止めろってか、そうか、モンスターが焼けちゃうからか! なるほどね! おっ、案の定ギレスラがブレスを冷却系に変えたね、なるほど、保冷処理で長持ちって事か、納得納得」
話している内容と楽しげな口調、ニッコリと上がった口角からすると、一見無茶に見えたレイブ達の特攻は中々調子が良い様である。
ほぉ~とかへぇ~とか洩らしているズィナミに横合いから学院の教授の一人、シエル女史が声を掛ける。
「学院長、レイブ君は無事、そうなんですね?」
ズィナミ・ヴァーズは笑顔のままでシエル女史の方に向き直りながら答える。
「ああ、今の所モンスターどもを圧倒しっぱなしだよ、いや大したもんだねー、伊達に何年もモンスター狩りを担当していない、ってぇっ! うわあっあぁぁー! き、キモっ!」
「が、学院長どうされましたっ!」
慌てて問い掛けるシエル女史から目を逸らし、荒い息を整えながらズィナミは返す。
「ひいぃっ! 寄らないでっ! シエル君の毛穴が超倍率でぇ~、か、角栓がぁ…… ひ、皮脂汚れがぁ…… たまには洗顔位しておきなさいよ~、ああぁ、き、キモイぃ~! 」
「ばっ! 顔ならしっかり洗ってますよ! 学院長が馬鹿みたいな視力で見るからじゃないですか! 失礼しちゃうっ!」
「キモこわーい!」
「キイィーまだ言いますか!」
キャアキャアキィキィ言い合っていると、二人の背後に巨大な雌ライオンが軽やかな足取りで着地して言葉を発する、ズィナミの相方、キャス・パリーグである。
『ズィナミ、生徒達は避難完了したわ、んでも、これはちょっと、ヤバいわね……』
「そうなのよパリーグ! 毛穴の汚れだけじゃないのよ、小ジワやシミ予備軍も所狭しとひしめいてるんだから! アナタからも言ってあげて頂戴!」
「キイィィーっ! どうなんですかキャス・パリーグっ? アナタはどう思うのかはっきり言って下さいな!」
シエルの声に直接答える事はせず、キャス・パリーグは最前線のレイブ達に視線を移して言葉を続ける。
『シエル先生の事は、えっと、兎も角、ですね…… レイブとペトラ、ギレスラもピンチっぽいんですけど…… あの、ヤバそうですよ、どうします?』
「えっ?」