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二人の間に、ようやく穏やかな空気が戻ってきた、その時だった。
ガチャリ、と勢いよく寝室のドアが開いた。
「康二!大丈夫かー!?」
「めめも、ふっかから聞いたよ!」
「仕事終わりで駆けつけたよ。体調は…」
なだれ込むように入ってきたのは、ラウールと佐久間、そして仕事帰りであろう綺麗な身なりの阿部だった。その後ろから、宮舘と渡辺もひょっこりと顔を覗かせている。そのさらに後ろでは、深澤が「ひーかーるー。これは不可抗力じゃん?」「そういう問題じゃない。一言いうのが約束だろ?」と、いつの間にか来ていた岩本に、服の件で詰められているのが見えた。
しかし、メンバーたちの心配の声は、部屋の光景を見た瞬間、ぴたりと止まった。
そこにあったのは、ベッドの上で、お互いの存在を確かめ合うかのように、静かに体を寄せ合う目黒と康二の姿だったからだ。
安心しきったのか、康二は目黒の胸にすがるようにして、すーすーと穏やかな寝息を立てている。その体を、目黒は壊れ物を扱うように優しく抱きとめ、慈しむような眼差しで見つめていた。
そして、突然の来訪者たちに気づくと、目黒は人差し指をそっと口元に当て、「しーっ」と静かにするように合図を送った。その瞳は、 intruders(侵入者)を牽制するような、しかしどこか満足げな色を浮かべていた。
「「「「「…………」」」」」
ラウールも、佐久間も、阿部も、宮舘も、渡辺も。全員が目の前の光景を瞬時に理解し、
「「あ、お邪魔しましたー…」」
と、誰からともなく声を揃え、来た時と同じように、そーっと静かに、そして気まずそうに部屋から出て行った。ドアが閉まる直前、深澤が「いやだからごめんって!」と岩本に小声で反論しているのが聞こえたが、それもすぐに聞こえなくなった。
再び静寂が戻った部屋で、目黒は腕の中の温かい重みを改めて感じていた。もう二度と、この手を離さない。そう心に誓いながら、自分も康二の穏やかな寝息に誘われるように、ゆっくりと目を閉じた。
アンファインダーの向こう側では決して見ることのできない、甘くて、少しだけ苦くて、そして何よりも愛おしい時間が、ただ静かに流れていく。彼らの物語に、本当の終わりは、まだずっと先の話だ。