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「とは言ったものの、何をすべきかサッパリだわ」
エスティが何か考えていると思い、見つめてみるが
「えっ?!……確かに?」
こちらも何も考えてはいないようね
「うーん、あっ!じゃあ恋バナしよ!!」
「うん、作戦は?」
「いいじゃん!ベラちゃんの話聞きたいしっ」
「それに、情報交換は大事でしょ?」
確かに一理ある
しかしこんなにモタモタしていていいのかしら?
こんな話をしている間にも、兄様は相手といるかもしれない
(もし兄様が私に興味がなくなってしまうかも)
なんて想像もしてしまう
怖い、兄様が取られるのが怖い
ギュッ
「!」
いきなり抱きしめられた
「大丈夫だよ、ベラちゃん」
「実はねエスティも今おなじ気持ちなんだ」
「え?」
「エスティの好きな人も、違う人が好きらしい」
いきなりそう言われた
(普段元気なエスティでさえ、こんなにも悲しい顔をするのね)
「だから無闇にやるんじゃなくて、作戦会議をしたいなぁって」
しかしさっきの顔と反対に、だんだんと声が小さくなっていってる
さらに顔も赤いと来た
まさか
「エスティ、もしかして私と恋バナしたいの?」
「?!」
体を動かし、目を背けた
これは確定と言ってもいいだろう
「……しよっか、恋バナ」
「!、いいの?!」
「えぇ、これも作戦のいっかよ」
「ふふっ、えへへ」
嬉しいのだろう、いつものエスティが見えてきた
えへへと声を出して笑う、エスティはとても愛らしい
「それじゃあ、まずは私からかしら?」
「うん!!」
「コホン、私は言わずもがな兄様が好きよ」
「でも、兄様は多分あのフィンランドという男が好きなんだと思ったわ」
「父であるソビエト社会主義共和国連邦が男の人と結婚している時点で」
「兄様もきっと男が好きなんだと思ったの」
「しかも他の人には見せない笑顔を見せているわ」
「私はにゃぽんの影響で現在腐女子だけど、、」
「けど?」
「どうしても兄様のカプは見れない」
「兄様の隣はいつも私がいいって思ってしまうわ」
「こんなの束縛が激しいなんてわかっている」
「それでも好きなの」
(改めて言うと恥ずかしいわね)
私はそう思い、少し顔を赤らめた
「〜〜〜!」
どうやらエスティも恥ずかしくなったらしい
顔を私より赤らめていた
「次は貴方よエスティ」
「………」
そういうとエスティは口を噤んでしまった
「エスティ?」
「お、怒らない?」
恐る恐るエスティは聞いてきた
「……あなたの相手が兄様じゃない限りね」
そういうセリフは大体、恋敵が言うセリフだ
「…………実はエスティの好きな人はロシアさん」
「っ」
まさか被ってしまうなんて
あぁそんな、あんなに慰めてくれたあなたと恋敵なんて
そんなの、あんまりよ!
「の」
「の?」
の、とはなんだ?
エスティの好きな相手は兄様じゃないの?
「ロシアさんの相手であるスオっ、じゃなくて、フィンランドなの!」
「………………」
「べ、ベラちゃん、怒った?」
「いえ、あのもう、混乱しかないわ」
とりあえず、安心はした
「よかったぁ、怒られなくてぇ」
「安心しなさいエスティ、そんなので怒らないわよ」
「でもでもぉ、ベラちゃんはスオミの事が嫌いだと思ったから」
「スオミとはフィンランドのことね?」
「うん」
そう、エスティはフィンランドの事をスオミと呼んでいる
これはエスティだけにしか許されていない呼び名だ
「……別に怒ってない」
「でも安心したわ」
「良かった、あなたと恋敵じゃなくて」
「!!」
ギューッ
「ふふっ、全くエスティは甘えん坊ね?」
「ベラちゃんが受け止めてくれるもん!」
情報交換(ただの恋バナ)のおかげで少し私はエスティとの絆が深まった気がする
「ありがとうエスティ」
「ベラルーシ」
「っ?」
何か声が聞こえた気がした
「ん?どうしたの?ベラちゃん」
でも周りを見ても誰もいない
「いえ、なんでもないわ」
なんだか、聞き覚えのある、愛おしい声だった気がする
(少し疲れているわね)
兄様がこんな所にいるはずがないもの