???「あんたらいつまでここにいる気?」 (保健室のドアがガラッと開き女性が入ってくる)梅「城崎先生!」
千夏「先生じゃん。もう少ししたら帰るから許
してよ」
城崎「へー、千夏が先生なんて呼ぶの珍しいじゃん」
千夏「でしょ〜?」
梅「な、なんか仲良さそうだね…」
千夏「ボクの母さんの同級生なんだよね」
梅「へー…そうなんだ」
千夏「あ、ボクの母さんの方が100倍美人だよ?」
城崎「あ?んだガキ調子乗ってんじゃねーぞ」
千夏「乗ってねーわ、ババアは黙ってろ」
城崎「アタシがババアならあんたの母さんはもっと老け顔だよ」
千夏「あ?うちの母さんはいくつになっても美人だよ」
梅「ま、まぁまぁ!喧嘩しないでくださいよ!」
城崎「ほら言われてんぞ、クソガキ」
千夏「先生こそ、元ヤン出てますよ」
(10分後)
城崎「あ、そういえば、数学の井村先生がまたアンタが数学のワーク出してないってキレ散らかしてたわよ」
千夏「出す気無いから待たなくていいよって言っといて」
城崎「自分で言えよ」
梅「あ、あの…城崎先生って元ヤンなんですか?」
城崎「え?あぁ、まぁそうだね」
千夏「そうそう、埼玉のヤンキー高校出身なんだよ〜。なんだっけ?名前」
城崎「風鈴高校だよ。」
千夏「賢いボクには縁のない高校だね。」
城崎「アタシも別に馬鹿ではなかったよ。ただほかの学校には行く気になれなかったんだよね。」
千夏「ほへ〜」
梅「ねぇねぇ、もしかして君意外と問題児なの?」(千夏をみていう)
千夏「やだなー、そんなわけないじゃん」(あははと笑いながら手をヒラヒラさせる)
城崎「いんや、びっくりするほどの問題児だよ」
梅「え、例えば…?」
城崎「提出物は当たり前のように出さない。髪は染めるしカラコンは付ける、それに耳より上で結んでるしね。」
梅「え?髪染めてる…?カラコンも付けてるの?」
千夏「えぇっと……」(気まづそうに目を逸らす)
城崎「雨波君、アルビノって知ってる?」
梅「えっと…メラニンの生合成に関わる遺伝情報の欠損により先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患がある個体のことですよね?」
城崎「へぇ、よく知ってるね」
梅「昔、真っ白な雨蛙を見つけたことがあって…その時に少し調べて。」
城崎「まぁ、この子がそのアルビノだから隠してるんだよ」
梅「隠してる?どうして…」
千夏「昔それで少し虐められてね。気持ち悪いんだって、まぁ、仕方ないよね」(諦めたような笑顔を見せる)
梅「…」(何も言えず固まる)
城崎「まったく、アルビノの美しさが分からないなんて、勿体ない奴等だね」(呆れたように言う)
千夏「美の基準は人それぞれだよ。さてと、ボクはそろそろ帰ろうかな。君はどうする?」(カバンを背負い梅を見る)
梅「あ、えっと……」(目を泳がせる)
千夏「ま、いいや。ボクは先に帰るね」(ヒラヒラと手を振りながら保健室を出ていく)
城崎「アンタも早く帰りな、別に家に帰るのが嫌なわけじゃないんだろう?」
梅「まぁ、そうですね。じゃあ…」(カバンを背負い立ち上がる)
城崎「雨波」(呼び止める)
梅「はい?」
城崎「あの子、悪い子じゃないんだ。仲良くしてあげて」
梅「……(少し驚いたように口を開けるがすぐに閉じ柔らかく微笑む)はい。」
城崎「ん、じゃあ早く帰りな。親御さんが心配するからね」
梅「はい、さようなら」(一礼し保健室を去る)
城崎「(雨波を見送りイスに座る)このまま何事も無く、あの子が学校生活を楽しめればいいんだけどねぇ…。あの人みたいに、ならなければいいけど…ねぇ、楓」
そう言って、懐かしそうに1枚の額縁に入った写真を眺めるのだった。
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