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私を忘れてください。
「__余命一年です。」
・・・医者の言葉が耳鳴りと、
共に聞こえてきた。
私、死ぬの?
「冗談・・・ですよね。」
医者は顔を顰めて返事をする。
「本当です。信じられない気持ちもありますが__」
それから、どこに異常があるかとか
話していたけれど私の耳には入ってこなかった。
私、やっと独りじゃなくなったのに。
やっと自分の人生、謳歌できるようになったのに・・・。
久世唯滓(くぜ いおり)、
大学二年生は、残りわずか寿命を告げられ
大変困惑していた。
診断結果の袋を持って、ベンチに座っていた。
__入院だけは避けれた。
私はどうやら、ステージ4の癌らしい。
ちゃんと病院いってたけど、癌が中々見つからなかった。
・・・膵臓癌だから。
ねえ、なんで見つけてくれなかったの。
なんで__。
・・・ラインの通知音が鳴る。彼氏からだ。
彼氏の名前は、安東圭介(あんどう けいすけ)。
大学二年生。
「病院の審査、お疲れ様〜。
今日一緒に映画見に行こうよ!」
きっと彼は、癌が発覚したなんて思いつきもしないだろう。
__知らないで欲しい。
愛しているからこそ、悲しまないで欲しい。
・・・そう思い、私は最後の返事を書いた。
「私を忘れてください。」
__それから、公園のベンチに座ってぼーっとしていた。
スマホから通知が鳴り止まない。
きっと彼からだろう。
私はスマホの電源を切り、どこかに歩き始めた。
私、病気で死ぬの、嫌なんだ。
だって、苦しくて辛いでしょ。
最期、すごく虚しくなるだろうし__。
だから、私は自殺する。
癌で死ぬなら、自分で死んだ方がいい。
私の歩く音が大きく、地面に鳴り響いた。