テラーノベル
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「……来いよ」
男が、ニヤッと笑う。
その瞬間——
空気が、弾けた。
「……っ!」
一斉に動き出す男たち。
「……」
でも。
もふくんとうりは、動かない。
ただ、見ている。
「……遅い」
うりが、小さく呟いた。
次の瞬間——
「……!?」
一人が、一歩も踏み込めずに止まる。
「な……っ」
「……」
もふくんが、わずかに視線を動かしただけ。
それだけで。
「……っ!?」
もう一人が、後ずさる。
「……なんだよ、これ……」
空気が、明らかにおかしい。
「……」
ヒロくんが、息を呑む。
(何もしてない)
(なのに——)
「……」
うりが、一歩踏み出す。
その瞬間。
「っ!?」
目の前の男が、吹き飛ぶ。
何が起きたか分からないまま。
床に転がる。
「……は?」
残りの連中が固まる。
「……」
もふくんも、ゆっくりと歩き出す。
静かに。
逃げ場を塞ぐように。
「……なんだよお前ら……」
男の声が、震える。
「……」
その時。
「……やっぱりか」
後ろにいたリーダー格の男が、口を開く。
「……?」
「“無敗”ってのは、伊達じゃねぇな」
その言葉。
「……!」
ゆあんくんたちが、反応する。
「……」
もふくんの目が、わずかに細くなる。
「……知ってるの?」
静かに聞く。
「当たり前だろ」
男が笑う。
「知らねぇやつの方が少ねぇよ」
「……?」
意味が分からない。
「昔、どこ行っても負けなし」
「誰が相手でも関係なし」
「2人で全部潰してきた」
一つ一つ、言葉が落ちる。
「……」
空気が、重くなる。
「それが——」
男が指を向ける。
「“無敗の2人”だろ?」
その一言。
「……!」
全員が、息を呑む。
「……」
もふくんは、何も言わない。
「……」
うりも、静かに立っている。
「……」
否定しない。
それが——
答えだった。
「……」
ヒロくんの目が、揺れる。
(やっぱり……)
でも。
想像以上だった。
「……」
ゆあんくんも、言葉を失う。
「……」
のあさんも、何も言えない。
「……」
その空気の中で。
「……それが何?」
もふくんが、静かに言った。
「……?」
「昔の話でしょ」
冷たい声。
「今は関係ない」
はっきりと。
「……」
男が、一瞬黙る。
そして。
「……変わってねぇよ」
小さく笑う。
「その目」
「……」
「その空気」
「……」
「全部、そのままだ」
その言葉。
「……」
もふくんは、何も言わない。
ただ。
「……」
目を逸らさない。
「……」
そして——
「……だから何?」
もう一度、言う。
その声は。
完全に、あの頃のものだった。
―――
“無敗”は。
ただの呼び名じゃない。
それは——
誰も勝てなかった証。
そして。
今もなお。
その強さは、消えていない。
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