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「ねぇ、リトアニア。」
急にロシアさんに呼ばれる。
「はい、どうしましたか?」
「リトアニアは僕の友達?」
「どうしたんですか、急に。」
「いや、なんでもないよ。」
笑って返された。
そんな質問をしたあなたはどこか寂しそうだった。
──────────────────
作業をしていて、ふと思い出す。
…そういえば、あの日から何年経っただろう。
『仲良くなれない子はいらないよね。』
その時は息を飲んだ。
『……はい。』
その後、下には人間の血。すぐに腐敗臭がしてきた。
でもあなたは下を見てぼーっとしていた。
俺はどこにも見るあてもなく、あなたを見ていた。それに気づいたあなたが振り向く。笑顔だった。
でもそれは不気味で、俺は初めての恐怖を感じた。
その日から何日か経ったあと、すぐに政府への反感が多くなり、革命が起こった。
あなたは10月……今だと11月。ぱたんと人が変わった。
見た目は変わらないのに、心は冷めきっていて、おかしな人だった。
ある日あなたは聞いてくる。
『友達だよね?』
圧。肯定することしかできない。
名前も呼ばれることなどない。
そんな日常が74年間続いた。
いつしかあなたは戻っていた。
あれはなんだったんだろう。
それは俺しかわからない。
ずっとあなたの隣にいたのは、俺だから。
──────────────────
最近、なぜだろう。夢を見る。
また僕は夢を見た。
僕は弱く、小さかった。
ああ、あの時か。
すぐに理解した。
タタールの支配下だった時の夢だ。
その日は酷く吹雪いていた。手が悴んで赤い。服はボロボロ。
すぐにトラウマが蘇る。ここで泣いたら、涙も凍るだけだ。
その時君に出会った。
君は心配そうに声をかける。
『どうしたの君、大丈夫?君は誰?』
リトアニアだった。
『僕、は、…ロシア。君は、誰?』
凍えてしまいそうな口を開く。
『俺は、』
はっと目が覚める。……なんでだろう。
涙が止まらない。
──────────────────
「おはようリトアニア。」
あなたの目には泣いたあとがくっきりと見えていた。
「どうしたんですかロシアさん!?」
あなたは少し戸惑ったが、いつものように笑って答える。
「なんでもないよ。大丈夫。」
俺はすぐに呼び止める。
「大丈夫だったらロシアさんなんて泣きません。」
そんなの俺が1番知ってます。あなたの事は俺が全て知ってます。
思わず口に出てしまった。
笑われた。
「そうだね。ずっと昔から僕のそばにいてくれるのはリトアニアだけだもん。」
俺があなたに紅茶をいれようと思い、台所へむかう。
あなたは思い出したように、すこし悲しそうに質問を投げかける。
「なんでリトアニアはずっと僕のそばにいてくれるの?……国の人も、国も、上司も、みんな、すぐ僕のことを見放すのに、なんで、?」
あなたの声は少し涙ぐんでいた。
俺はすぐに答える。
「……あなたのそばにいると誓ったからです。」
あなたは手放せない人だ、……なんて事を言ってしまったらきっとラトビアみたいにいろいろされてしまうと思うから言わないでおく。
「あり、がとう。」
あなたが泣きつつも笑って答えていることがわかる。
温かい紅茶をあなたへ。
「ずっと、ずっと。ごめんね。」
あなたに謝られる。そんな筋合いは無かったのに。
「こちらこそ、ごめんなさい。」
この部屋は、少し寒くて、暖かい。
そう身をもって感じた。