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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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手には血の付いた刃物、やはり今回も狂ってしまったか。胸にはどうにも出来ない1本の矢が貫いている。

「あはははは!」

彼のうるさい叫び声がする。もう、あと僅か。私は彼を抱き締める。しかし、彼は私の左腕を躊躇なく切りつけた。とてつもなく痛い。私のことなんて見ていない。どくどくと流れ出る血液は暖かかった。

「聞いて。」そう言い、真っ直ぐと彼の目の中を見る。曇りがない綺麗な瞳。そこから零れる大きな涙。

「やめてよ、もう一度会いたいって思っちゃうじゃん。」泣きながらつぶやく彼。

心臓の鼓動が聞こえてしまいそう。深く深呼吸をして、優しく眼鏡を取って、そっと彼の涙を拭いながら。

「好きです。何度繰り返してもこの気持ちは変わりません。」

つられて涙が出てしまう。

「なんだよそのプロポーズ。」彼の眩しい笑顔。

ああ、私はこの笑顔を見たかったんだ。その笑顔を見るだけで次、また頑張れる。次はハッピーエンドにしてみせる。

ガハッ!

これでもかというほど口から溢れ出る血。荒々しく息を切らした後、彼は電池の切れたおもちゃのようにピタッと止まり、倒れ込んだ。私はしゃがみこみ、彼の亡骸を再び抱き締める。

また、告白の答えを聞けなかった。

自分から答えを聞くのではなく、彼の口から答えを聞くために、彼が生きている世界を作るために、あわよくば彼と付き合うために、また繰り返す。答えなんてどこにもないのに。結末は一緒なのに。

だけど待ってて、迎えに行くから。

翔汰。

翔汰との出会いは高校の入学式。要は一目惚れだった。ふわふわとした髪、大きな目、不意に見せる笑顔。全てに惹かれた。あまり話したことないが、私にとっては大きな存在だった。

7月の夏、私こと花宮鈴音は彼に告白をしようとしていた。ベタだが、屋上に呼び出して。放課後になり、その時が近づく。私は先に屋上に着いて、地味に都会な街を見下ろす。

「おーい。」

後ろから聞き慣れた、優しさが滲み出る声。

「屋上なんて避難訓練ぶりだなー。綺麗な景色だね。鈴音。」

緊張して言葉に詰まる。

「あっ、うん。そうだね。」

心臓の鼓動が身体中に響いてうるさい。

「それに、意外と涼しいんだね、ここ。部活サボれそう。」

彼は水泳部に所属しており、ノリで部活に入ったそう。

「んー!テスト終わったし、次は夏休みかー!」

背伸びをしながら私の元に近寄ってくる。

「あのさっ!」

疑問の表情を浮かべた彼。

「ゆっくりでいいよ。」

悟ったのだろう、私が何を言うのか。

深呼吸をしたその瞬間。

ドカンッ!!!!

近くのビルが倒れて燃えた。

ドカンッ!!!バンッ!!

すかさず他の建物も崩れ始めた。何がなんだかわからなかった。

「鈴音っ!」

急に手を掴まれ、2人でしゃがみこんだ。今のこのドキドキは恐怖なのか恋なのか。

すると、急に足場がグラッと揺れた。屋上の床が崩れていく。わけも分からないまま、落ちていく。

手を繋いだまま、私たちは転ばないように大きめな足場に飛び移る。その間にも落ちて行ってるのが目に見える。

強く手を握る彼。一緒に死ぬのなら…とも思ってしまったが、ダメだ。

まだ告白してない!!

足元に強い衝撃が走ると、直ぐに地面へたどり着いたのが分かった。

幸いにもどこも怪我はしてない…な。

砂埃が一面に舞っていたが、握りしめていた手が彼がそこにいることを意味していた。

「だ、大丈夫?何が起こったの…?」

辺りが見えてくると私たちが先程まで授業をしていた高校が、ガラクタのようにぐちゃぐちゃになってるではないか。

「あ…あれって西…?」

西とは、翔汰の親友である。毎日朝登校してるくらいの。天井に押しつぶされたのだろう、手足がありえないほど折れ曲がっている。

「あ…ああ…。」

人とは絶望した時一瞬声が出なくなる。そしてその後、溢れ出る感情が込み上げてくる。私を掴んでいた手を離し、西の元へ行く。

「おい!しっかりしろよ!」

こぼれ落ちる涙。彼が泣いているのを見たのは初めてだ。

「あは、ははは。」

諦めたような笑い。

「西が死ぬなら俺も死のうかな。」

それだけは、それだけは止めなければならない。しかし、時は待ってくれないものである。彼は近くのガラス片を手に取り、自ら首元へ刺した。

…その直前にこう呟いた。

「鈴音、俺はこの現実を受け入れられない。先に西のところへ行くから。」

首元から溢れ出る血。

「やめてよっ!嘘でしょ…?」

直ぐに彼は倒れ込む。

西の死が彼を狂わせたんだ。

ならば、西と翔汰を救えばいい。

でもどうやって?

脳裏に過ぎる彼の死。私は何としてもこの結末を変えるしかない。

絶対に変えてみせる…!このエンディングを!

そう願った時、眩い光が辺りを包んだ。

思わず私は目を閉じる。

目を開けたら、私は先程の屋上にいた。

愛の為に繰り返シ

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