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yuka🌃🪽💎
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温泉旅館でのロケ、二日目。
朝六時半。
障子の隙間から柔らかな光が差し込んでいた。
────────
💜side
「……ん」
ゆっくり目を開ける。
見慣れない天井。
数秒考えてから思い出した。
(旅館か)
体を起こそうとして、隣を見る。
💛「……」
照はまだ眠っていた。
珍しい。
普段なら自分より早く起きていることが多いのに。
静かな寝息。
穏やかな表情。
(こんな顔して寝るんだ)
少しだけ新鮮だった。
その時。
ガチャ。
部屋のドアが静かに開く。
スタッフが小さな声で話す。
「おはようございます」
💜「おはようございます」
「岩本さんは?」
💜「まだ寝てます」
スタッフは笑いながらカメラを回し始めた。
「起こしてもらって大丈夫です」
💜「俺が?」
「恋人なら、どう起こすのかなと思って」
(また難しいのきたな)
ふっかは照を見下ろす。
どうする。
肩を揺する?
名前を呼ぶ?
考えていると、スタッフが笑いを堪えていた。
💜「見ないでくださいよ」
「失礼しました」
────────
ふっかは照の布団の横へしゃがみ込む。
💜「照」
返事はない。
💜「朝だよ」
まだ起きない。
💜「……照」
今度は少しだけ肩へ触れる。
その瞬間。
💛「……ん」
ゆっくり目を開けた。
💛「おはよう」
💜「おはよ」
💛「もう朝?」
💜「うん」
💛「寝ちゃってたな」
💜「珍しいじゃん」
照は上半身を起こしながら笑った。
💛「昨日ぐっすりだった」
💜「俺も」
その何気ないやり取りを、スタッフは静かに撮影していた。
────────
朝食後。
今日最後の撮影内容が発表される。
監督が二人へ地図を渡した。
「これから一時間」
「お二人だけで目的地へ向かってください」
💜「目的地?」
「展望台です」
💛「一本道ですか?」
「いえ」
「途中までしか案内していません」
ふっかが地図を見る。
💜「迷いそう」
監督が笑う。
「それも含めてです」
────────
💛side
歩き始めて二十分。
案の定。
💜「……」
💛「……」
💜「迷った?」
💛「たぶん」
分かれ道。
右か左か。
地図を見比べても分からない。
💜「どうする?」
💛「右かな」
💜「勘?」
💛「勘」
💜「信用していい?」
💛「半分くらい」
ふっかが吹き出す。
💜「半分かぁ」
結局。
照を信じて右へ進むことにした。
────────
十分後。
💜「あった!」
展望台の案内板。
💜「合ってたじゃん」
💛「よかった」
二人で顔を見合わせて笑う。
そのまま階段を上がる。
展望台には誰もいなかった。
目の前に広がる山々。
遠くまで続く青空。
💜「すげぇ」
思わず声が漏れる。
照も景色を見つめながら静かに頷いた。
💛「来てよかったね」
風が吹く。
少しだけ冷たい。
ふっかは腕をさすった。
その様子に気付いた照が、自分のパーカーを脱ぐ。
💜「え?」
💛「着る?」
💜「照寒いじゃん」
💛「俺は平気」
💜「でも」
💛「いいから」
ふっかの肩へそっと掛ける。
あまりにも自然な動きだった。
ふっかは少しだけ照を見る。
💜「……ありがと」
💛「うん」
それ以上の会話はなかった。
ただ。
二人とも景色を眺めていた。
────────
少し離れた場所。
監督がモニターを見ながら呟く。
「今のも指示してないよね?」
「してません」
スタッフも首を横に振る。
「パーカーを掛けるなんて打ち合わせにもありません」
監督は小さく笑う。
「岩本さん、無意識なんだろうな」
モニターの中では。
ふっかがパーカーの袖を少しだけ握りしめながら笑っていた。
その笑顔は。
初日のぎこちなさとは、もう全く違っていた。
旅館でのロケは、これで終了。
けれど。
二人の距離は、撮影が始まる前よりも確かに近付いていた。
本人たちだけが、まだその変化に気付いていなかった。
コメント
3件
す、スパダリだッッッッ
照がメロ男すぎてやばい 早く幸せになれ…っっっ
おお、この距離感の変化がたまらないですね。自然な流れで照がパーカーを掛けるシーン、本当に「無意識」っていうのが監督の言葉で腑に落ちました。ふっかが袖を握りしめるあたり、本人たちは気づいてなくても確実に近づいてる。ロケ二日目でここまで見せられるのはすごい。