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×××











「じゃあ、早速だけど君たちのSV管理者は誰にしよっか!」



楽しそうに話す敵軍の司令官、及川徹を横目に、月島は目の前にいる男に釘付けだった。

黒尾。その名前に聞き覚えがあったからだ。

ジ・・・とこちらを見る月島に気づいたのか黒尾がニヤニヤとした笑いと共に話しかける。



「なぁに?メガネくん。俺の事タイプなの~?」



ふざけた態度をとる男に月島は返事をすることなく視線を逸らした。



「黒尾振られてやんの~!」


「やだー黒尾くん泣いちゃう。 」



こんな状況で何故そこまでふざけあえるのか、特殊部隊は理解に苦しんだ。

拘束されてるにしろ、反政府軍と負けず、尖らずの戦いをしてきた自分たちを前に警戒する素振りすら見れない。

完全に舐められている。



「こらこら黒ちゃんもぼっくんも、要望あるなら言わないと勝手に決めちゃうよ?」


「だめ!俺こいつがいい!」



まるで“このおもちゃがいい!”という子供のように僕とは赤葦を抱きしめた。



「じゃあ俺はこのメガネくんかな」



黒尾が一歩前に出て、月島の頬に手を滑らせる。



「このプライドが高そうな顔、ぐちゃぐちゃにしたい。」



舌なめずりをしてまるで獲物を捕まえた猫のような目で黒尾は月島を見た。



「え~?俺、そのメガネくんか無表情の子が良かったなぁ。岩泉とそこのツリ目くん暴れそうじゃん」



そこで今まで傍観していた猿杙が話す。



「えー!!猿こいつ狙い!?」


「メガネくんも〜!?」


「あらら~被っちゃったね!まっつんとマッキーはいいの?」


「俺は花で手一杯だから。」


「俺も松で手一杯だからパス。」



いえーい、とハイタッチをしだす花巻と松川。



「2人とも久々の再会だから燃えちゃうの~?」


「そーそー。早くセッ○スしたくて堪んねぇの。ね、花。」


「やだ~松川くんのえっち~」



その話の内容に特殊部隊が恐怖を感じた。

なぜなら、帝国軍で同性との交際も性交も認められてないからだ。

むしろ、ゲイだと認めることも、それを他人に話すこともすれば、人から侮辱の目で見られるのは明白だった。

昔からのしきたりや、掟を重んじてる帝国軍で同性との性交など、あってはならないし望まない。

知らない間に特殊部隊側は青ざめていたらしい。



「なぁに?帝国軍サマは同性との交際も性交萌認められない!って?まだそんな古ぼけたこと言ってるの?」



岩泉の表情を見た及川がバカにしたように話す。



「当たり前だろうが!男同士だぁ!?気持ちわりぃ!」



それに反論したのは岩泉だった。

軍は男所帯。有り余る性を男で補おうとする奴を無くすために古い考え持つ大人が教えこんだ。

それを当たり前だと思っている岩泉達はそれを信じて疑わない。



「はぁ、こういうとこから戦争が始まってんだよね~。あーヤダヤダ。古い考え持ちすぎ。」



わざとらしく手を挙げて見せる及川は岩泉達を侮辱の目で見た。



「生産性の無い恋愛は無意味ってこと?子供が産めない?じゃあお前とはサヨナラだわ、なんて言うような男が女にモテるわけもないし、付き合えるわけもないよね。そんなの相手を愛してる訳じゃなくて生産性を求めてるだけなんだから。そんな思考持ってるようなやつが1番気持ち悪いよね。特に男はさ、子供も産めないくせに女に生産性求めてんだもん。」



まともな恋愛も出来ない奴が他人の恋愛に口出しするなよ。



心底不快だと言うように及川は顔を顰めた。

自身の友達のことを悪く言われたようにしか見えなかったんだろう。

実際、悪く言われたから。

及川の中で何かがキレた。



「お前は俺が躾ける。」



及川は岩泉を指してそう言った。



「え~?じゃあ俺コイツ?」



猿杙が木葉を指す。

指をさされた本人は猿杙を睨みつけていた。



「猿くんはメガネくんか無表情くんがいいんでしょ?どうする?黒ちゃんたちと話し合う?」


「待てよ~。これは本人たちに決めさせた方が面白くね?」



胡散臭い笑みを見せて黒尾が提案する。



「どういうこと?」



及川が尋ねる。



「せっかく拷問されんなら好きな相手がいいだろ?だったら本人たちに決めさせようぜ。それなら文句ねぇだろ。」



そう言って黒尾は月島に振り返った。



「なぁメガネくん。この中で好きな相手は?」



SVは誰がいい?とは聞かず、好きな相手は?と聞くあたり性格が悪い。

今さっき同性との交際はこっちではご法度だという話をしていたと言うのに。

月島は小さく舌打ちをした。



「・・・貴方、お名前は黒尾さん、でよろしいですか?」


「ん?そうだけど」



突然質問をされ、驚きながらも質問に答える。



「そうですか。なら、僕は貴方がいいです。黒尾さん。」



ニコリ、と笑って月島は黒尾を見た。

それを見た黒尾は自分の頬が熱くなるのを感じる。



「そ、そっかぁ。猿くん、ごめんね。メガネくんは俺がいいんだって!」


「残念だな。」



黒尾はなんともない。というふうに笑って猿杙を見た。



「なぁなぁ!お前は?俺がいいよな!俺だよな!」



木兎が待ちきれない!というように赤葦に迫る。

赤葦は少々鬱陶しながらも頷いた。



「俺がいいって!」



ニコニコと屈託の無い笑顔を見せる木兎。

それを見て、及川がポツリと呟いた。



「あーあ、無表情クンご愁傷さま。」



及川のその顔には何かを隠しているように岩泉は見えた。

いや、隠している

及川は何かを隠したり何かあってもそれが言いずらいとき口元に手を当てる。

その癖が今も変わらずあることに岩泉は気づいた。



「木兎、今のはほぼ強制だったじゃん。」


「頷いたから俺のもんなの!!」



何を言っても聞かないと判断したのか猿杙はそれ以上言わない。



「ツリ目くんは?」


「1番性格が悪くないやつ。」



ふん、と目を逸らして木葉はそれだけを口にした。



「え〜?皆性格悪いよ〜?ど〜する?」


「んー、まあ、1番性格が良いのは猿杙なんじゃね」



松川が少し悩んで猿杙を選ぶ



「じゃあそいつでいい」


「なんか腑に落ちないなぁ」



あはは、と笑って猿杙は木葉を見た。



「んじゃ俺はこいつ。」



及川はそう言って岩泉を見下ろした。

昔は岩泉が及川を見下ろしていたはずだった。

それが今、全くの別物となる。



「じゃあ、各々好きなように躾ちゃって。武装解いたら身体確認ちゃんとするんだよ。何仕込んでるかわかんないから。特にそこのツリ目くん暗殺者だからね〜」


「りょーかい」



及川はそう言って花巻に岩泉を拘束させて部屋から連れ出した。

それに松川がついて行き猿杙が返事をする。



「んじゃ、俺達も行こうな!」



そう言って木兎が赤葦を引っ張る。



「大佐!補助を・・」


「いーの!どうせ逃げれねぇし」



そう言って補助を置いて木兎は赤葦を連れて出ていく。


猿杙も同じように木葉を連れ出した。



「じゃ、俺達も連れていくか。リエーフ、こいつ拘束して」


「はいっス!」



黒尾は部下に命令をして先に歩く。

月島はされるがままそれについて行った。


歩かさせて着いたところは大きな一人部屋だった。

上官ともなればこんな大きい部屋が貰えるのか、と冷静な頭で月島は考える。

窓の位置、出入口、換気口。



「そんなに観察したって逃げれる場所なんかねぇぞ」



まるで月島の考えを読むかのように黒尾は告げた。



「調教の時以外は地下牢に突っ込むから。」


「フッ、拷問じゃないんですね。」



挑発するように月島は言う。



「お前たちからすれば調教も拷問も変わんねぇんじゃねぇの?」



それもそうだ。

これからすることは軍事機密を話させるための拷問にすぎない。



「珍しいっすね黒尾さん!部屋に捕虜入れるなんて!いつもだったら拷問部屋に_」


「リエーフ、余計なこと喋んな。前線送りにすんぞ」


「ハイッ!!!」



前線、という言葉でリエーフは愚痴を噤む。



「ハッ、何、君前線が怖いの?この人の部下なら防衛戦だよね。安全なところで高みの見物できるなんていいご身分だね。」


「はぁ!?怖くないし!」


「リエーフ。挑発に乗らない。こいつの武装解け。」


「ハイッ」



命令され、リエーフは月島の服を剥ぎ取る。

腕を拘束されたままだと上の服を脱ぎにくいため1度外された。

余計なことはすんなよ、ど常に銃をすぐそばに置いて黒尾も軍服から着替える。

カチャカチャとベルトを触れられた。

男にベルトを触られる、という不快感が月島を襲う。



「早くしてよ」


「ちょっと待って」



そして何秒かした後、スルッとズボンを下ろされる。



「キレーな足だな、お前。」


「見るな、気持ち悪い。」



そう言ったにも関わらずリエーフは月島の太ももを触る。



「・・・ッ、!」


「いってぇ!」



思わず、足をリエーフの顔面をめがけて振りかざした。

リエーフは避けたものの、避けた体勢が悪く、足に月島の足が当たる。



「お前、敵から一撃食らうとか・・・夜っくんに言って練習メニュー増やすか?」


「夜久さんに言うのは勘弁してください!!」


「はぁ、もういいからお前下がれ」


「えっ、でも黒尾さん一人でこいつの相手するんですか?」



これには月島も驚く。

いくら上官だからといって敵と二人きりになるなんて無防備すぎだ。



「俺がこんなにヒョロっちいネコちゃん1人にやられるって?」


「いや!そういう訳では!」


「わかったなら下がれ。」


「ハッ!」



そう言ってリエーフは月島の拘束を再びして部屋を出ていく。

部屋の中では黒尾と月島、2人きりだった。

月島は下着1枚で後ろに拘束されたまま立っている。



「まず手始めに、キミ、名前は? 」

「これから拷問する相手の名前なんてどうでもいいでしょう。」


「今日から俺とお前は管理するものとされるもの、だ。俺にはお前の名前を聞く権利がある。」


「・・・そこのドッグタグの裏に書いてある。」


「口、で言え。お前は上官自らに探させる気か?」


「頭のいい上官じゃないと相手にしたくありませんので」



こんな挑発めいたことをするのは分が悪いと月島もわかっていた。

それでも絶対服従したくない理由はちゃんとあるのだ。

なら他の人間を選べばよかったと思うかもしれない。

でも月島は、黒尾鉄朗でなければならなかった。



「・・・俺のやり方が甘かったな 」



そう黒尾が言うと黒尾は月島の下着を脱がせる。



「なッ、やめろ!」



足を動かそうとすれば下着が引っかかリエーフ盛大に転ぶ。

それを待っていたかのように黒尾は月島の方に足を置き動きを封じた。



「もう一度聞く。名前を言え。言わなければこの格好のまま捕虜の前に突き出すぞ」


「・・・ッ」



月島は見てわかる通りプライドが高い男だ。

そんな月島が後輩の前で拘束され陰部を晒されるなんて死んでもしたくないだろう。

黒尾はそれを見抜きあえてその方法をとった。



「・・・第18期特殊部隊超距離後衛班、リスト番号0927、月島蛍。」


「歳は?」


「22・・・」


「よし、 」



後輩の前で陰部を晒すことも嫌だが、月島からすればあられも無い姿で敵軍の指揮官と話すこともプライドが削られる気分だった。

急いで下着を引っ張り上げその場に立つ。



「俺は反政府軍防衛総指揮官大佐、黒尾鉄朗。今日から月島蛍の管理官だ。勝手な行動は慎めよ」



そう言うと黒尾は月島に近づき腕を取る。

そのままベットの方に歩いたかと思えば月島をベットに放り投げた。

そしてフッと笑いながら黒尾は言い放つ。



「お前、男がイケんのが花巻と松川だけだと思ってる?」



その言葉に月島は暴れた。

だが、腕を拘束され、押し倒されてる以上動かせるのは足のみ。

その足も黒尾にマウント取られ動かせない。



「俺も男イケんの。特にツッキーみたいなプライド高くて可愛い顔の子をぐっちゃぐちゃになるまで犯して俺しか見れないようにするの最高だよね。」


「ふざけるな!」



月島は青ざめて暴れた。

ツッキーなどとふざけた名前を呼ばれることより、今から自分の貞操を守るので精一杯だった



「落ち着けよ。別に今から犯すって言ってんじゃねーから。まず身体検査からな。お前、自分でやりたい派?後ろは俺がならねぇとダメだけど」


「・・・ッ」



その言葉の意味を月島は理解していた。

軍では暗殺者やスパイを行う人間の体内に手榴弾などといった武器を隠す場合がある。

そのため捕虜を捕まえた際はそういったものを処理するための検査がある。



「・・・バケツ、貸してください。自分でやります。」


「おー」



そう言うと黒尾は袋の入ったバケツを月島に渡し、拘束をとく。

バケツを受け取った月島はベットを下りると自身の口に指を突っ込む。



「・・・ぅ、ぉえ・・・げほっ・・・」



びちゃびちゃと胃液が出てくる。

捕まる前から何も食べていない月島の腹には何も入ってなかった。



「・・・、はぁ、はぁ、」

「よし、何も入ってねぇな。手、洗え。」



そう言って黒尾は部屋についてる洗面台へと月島を誘導する。

月島は手を洗い、黒尾はトイレに内容物の入っていない中身を捨てに行った。

その瞬間を月島は見逃さなかった。

トイレを出た黒尾を月島は襲撃した。

身長は大して変わらない。

それなのに体格差のある黒尾を床にひれ伏されるのは中々の力技が必要だった。

それでも意地で黒尾の上にマウントをとる。

黒尾は襲撃された時に頭を打ったのか痛そうに顔を歪めた。



「ねぇ黒尾大佐。僕、貴方のこと知ってるんです。」


「そりゃあ挨拶したからな。」



こんな状況にも関わらず黒尾は余裕そうだった。

そういうとこが余計ムカつく。



「いえ、12年前に1度貴方と僕は会っていますよ。」


「はぁ?」


「反政府軍の襲撃を受けた僕の家でね。」










兄ちゃん、僕、やっと仇を打てるよ。











帝国軍VS反政府軍

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