コツ…コツ
マ「ツンさん…おはようございます…」
冷たい洞窟の中誰かが一人そう喋っている
マ「今日の冬もまた一段と寒くなるそうです」
そう言い、誰かが手をついた先は硬い氷で閉ざされその中で安らかに眠っている一人の星の子がいた
ーー
マ「今日のデイリーなんだろうな…早く終わらせて寝たいな」
野良「捨て地に出たらしいぞ!あの噂の冷気を放つチーター!」
野良2「えー?!ガチガチ?!見に行こうぜ!」
マ(最近の奴は怖いもの知らずなのか…そっとしておく方がいいだろ…)
そんな事を思いながらデイリーへと足を運んだ
ー峡谷ー
マ(あれ?ここら辺妙に寒いな…冬だからか)
ドサッ
誰かが倒れる音がする
マ「………」
無視して行ってしまおうとも考えた。だが俺が×したみたいで後味が悪い、踵を返し、倒れた方向へ向かってみた
そこにいたのは
青いオーラが纏い、その中心で浅く呼吸をし体を丸めている一人の星の子だった
?「ハァ………ハァ……」
マ(なんだこれ…)
近づこうとするたびに身体中が凍ってしまいそうな冷たい空気が俺にのしかかってくる
マ(これは寒い冬でしかも峡谷だからって感じじゃなさそうだな、あの人の周りを漂ってるあの青いオーラみたいなのが寒さの原因か…通りすがりの野良が言ってた冷気を放つチーターも多分あの人だろ…)
(とりあえず声かけてみるか…)
マ「あの…」
俺の声でこちらに気づいたのか体を起き上がらせ、ゆっくりと俺の方を向く
そこにはツンの髪型に袴、白ケープにリズムのペンダント、イタチ面、ギターを背負った星の子だった
ツ「誰…」
野良の星の子が紡ぐ言葉は弱々しく今にも消え入りそうな声だった
マ「こんな所にいたら一目につきますよ、とりあえず一目のつかないところに」
そう言い、その野良に触れようとした瞬間
ツ「触っちゃダメだ!!」
野良がいきなり声を荒げ、俺から距離をとった
そしてそのまま別の所へ行こうとしたのかケープを広げ、宙を舞おうとする、しかし
ツ「……」
あれが最後の力だったのか、膝から崩れ落ちていき、そのまま気絶してしまった。
マ「……だいぶ弱ってたのか…怪我も結構してるし、ここだと人目につきそうだな…」
そう独り言を呟き、その野良を抱き抱えた
マ(冷たッ…体氷で出来てんのかよ…人気のない場所…俺の家の方がいいか)
ーー
ツ「……?」
峡谷にいたはずなのに…ここはどこだろう
マ「あ、起きましたか?」
ツ(ビクッ)
マ「あぁ、すみません、驚かすつもりではなくて」
ツ「いえ、大丈夫です」
この人は確か峡谷で声をかけてくれた…
マ「あの…起きたばっかりの人に聞くもんじゃないと思うんですけど…貴方って今噂になってる冷気を放つチーターですか?」
ツ「チーター……確かに表現は合っていますね、噂が立ってしまうのは早いですね。最初は人があまり来ない捨て地にいたんですがやっぱりこの青いオーラのせいで見つかってしまうもので、自分ではこの能力を制御することは不可能で…急いで逃げてきた時に野良が投げた石にぶつかって…たどり着いたのが峡谷でした」
マ「そうでしたか、だから頭から少し血が出ていたんですね」
ツ「え?」
頭を触って初めて知った。俺はあの時峡谷で意識を失ってしまっていたのだ。この頭の包帯もこの人がやってくれたのかな…
ツン「………」
(あれ?この人…まさか)
「あのっ…」
マ「?」
ツ「俺を運ぶ時触れましたか?」
マ「え、あ、はい、じゃないと運べないので…」
ツ(………)
マ「だ、大丈夫ですか?!」
なぜ心配をするのですか?そう聞こうとしたが自分で理解をした。俺は今自分の能力が抑えられていないのだ。いきなり喉から声が出なくなり、細い呼吸しかできなくなっていた。そして部屋一面を青いオーラが纏っていくのが見えた。
ツ「ヒュー…ヒュー…ヒュー…ヒュー…」
ーー
ツ「〇〇!!」
?「ツ……ン………」
バキバキバキバキ
俺が触れた瞬間フレは氷に閉ざされてしまった
ツ「あ…あ…」
野良「おい、アレ見ろよ!星の子が凍ってんぞ!」
野良「あいつがやったのか!石を投げて攻撃しろ!」
ツン「ッ……」
タタタッ
野良「おい、待て!」
ツ「〇〇…ごめんなさい…ごめんなさい…」
涙すら冷たい、もう誰にも触れられない、触れさせたくない…
ーー
ツ「はっ…!」
マ「大丈夫ですか?ずっと息があがっていたので」
俺が気がついた頃には部屋には氷柱や氷に閉ざされてしまっていて、申し訳なく思った
ツ「部屋…すみません…ほんとに…」
マ「部屋は片付ければ元通りになります。貴方の健康が第一ですよ」
ツ「ありがとう…ございます」
看病をしてくれた人がそう言い、ずっと宥めてくれていたのか、背中をずっと摩ってくれている事に気づき慌てて
ツ「俺に触れると凍っちゃいます…!早く俺から離れt」
そう言い、手を外そうとした瞬間
マ「………?」
ツ(凍ってない…俺に触れたら皆んな凍ってしまうはずなのに、………星の子は暖かいって本で読んだことあるけど、本当なんだな、どんな日差しより暖かい…手だけでこんなに暖かいものなんだな)
マ「あ、あの…」
ツ(はっ…ずっと手を握ってしまってた?!?!?!)
「す、すみません!星の子に触れたこと殆どなくて…貴方に触れたらとても暖かくて、つい…」
マ「…………」
野良「お前、冷たい奴だよな、こいつと関わらないでおこうぜ」
野良2「そうだね、行こ行こ」
マ「………」
ツ「どうかしましたか?」
マ「い、いえ、暖かいなんて初めて言われたので、少し驚いて」
ツ「俺は他人に体の一部分でも触れさせてしまうとその人は氷に閉ざされてしまう体質ですし、それに自分の体を触ってみても氷のように冷たいので暖かい体温?とやらをもつ貴方がとても羨ましい」
マ「……俺なんて、体が暖かくても心は冷たくて、最初は貴方のことも見捨ててしまおうとしたのですから」
ツ「……でも貴方は俺を助けてくれました、それだけでいいのではないですか?俺は少なくとも貴方に救われました」
マ(こんなに暖かい言葉をかけられたの初めてかもしれない、生まれた時から他人から嫌われて生きてきたから…あれ?頬からなんか伝って…)
「俺そんな優しい言葉かけられたことないです……ありがとうございます……泣」
ツ「……!!!!!」
(な、泣いてる?!こう言う時どうすればいいんだろう……えっと…)
スッ
マ「?!あ、あの…」
ツ「泣き止むまで…俺がしたいからこうさせてください」
マ「……はい」
この人と俺は少し似ているのかもしれないな…そんな事を思いながら抱きしめられている感覚の中涙だけが俺の頬とまだ名も知らない貴方の服を濡らし続けた
ーー
マ「す、すみません…出会ってほぼ初対面の人にこんな仕打ち…」
ツ「いえいえ、いいんですよ、俺、そろそろ行きますね」
そう言い、立ちあがろうとした瞬間
ガシッ
ツ「え…?」
いきなりケープを掴まれ、体勢を崩してしまった。
ツ「うわっ?!」
マ「……?!」
ツ「いてて…すみません」
マ「いいんです、俺がケープ掴んじゃったのが悪いので…」
マ「あの…!迷惑なお願いだとは重々承知してるんですがまた会うかどうか分かりません…!だから、フレになってもいいですか?」
ツ「え…俺でいいんですか?」
マ「はい、貴方とフレになりたいです」
ツ「ありがとうございます…。」
(白キャンを受け取る)
「では俺はこれで、ありがとうございました」
マ「はい」
(明日、会いに行こう)
ーー
マ「こんばんは!」
ツ「え…えっと…こんばんは…?」
マ「いい天気なので散歩に誘いたいなって」
ツ「……確かに散歩日和ですね、誘ってくださりありがとうございます」
マ「いえいえ、お時間大丈夫ですか?」
ツ「はい、大丈夫ですよ」
マ「よかった…じゃ行きましょう」
スッ(手を差し出す)
ツ「はい」
マ(もう俺に触れる事怖く無くなってきてくれたのかな…そうだったら嬉しいな)
野良(ヒソヒソ)
ツ「…………」
マ「あの」
ツ「あ、はい?」
マ「名前聞いてもいいですか?聞いてなかったと思って」
ツ「あ、俺ツンって言います」
マ「俺はマッシュです、よろしくお願いします」
ツ「こちらこそ」
そうしてあの散歩以来ツンさんとは距離が縮まった気がした
マ「あ、今日のデイリー捨て地ですね」
ツ「え……」
マ「もしかして苦手ですか?」
ツ「た、多分…」
マ「じゃ今日は俺がキャリーします、行きましょう」
ツ「はい…」
ー捨て地ー
エビ「ギギギギギ」
マ「今日のエビは少し不機嫌そうですね笑笑」
ツ「そう…ですね…」
マ(明らかにツンさんの様子がおかしいな…)
「ツンさん、大丈夫ですか………、え?」
ツ「うぅッ」
マ「ツンさん?!」