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14 - 第十四話「壊す者と守る者」

2025年07月25日

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現実世界――


割れた鏡の前。

そこに立つのは、“ないこ”と“闇ないこ”。


片や静かに自分を取り戻し始めた少年。

片や叫びと怒りの化身、すべてを壊そうとする存在。


二人の“ないこ”が、ついに――対峙した。


闇ないこ(吐き捨てるように): ……来たか、“仮面”の本体。

今さら思い出したからって、全部チャラになるとでも?


ないこ(静かに): ……チャラになんてならない。

忘れてたこと、閉じ込めたこと、僕はもう逃げないよ。


闇ないこ(嘲笑う): はぁ? 逃げないだ?

お前は“逃げたから”俺が生まれたんだろ?

「優しい自分」でいたいっていう、あの滑稽な理想を守るためにな。


ないこ(まっすぐ見つめながら): ……うん、そうかもしれない。

でもね、“優しさ”は弱さじゃない。

傷つけないように生きたいと願うのは、間違ってなかった。


闇ないこ(苛立ちながら): 綺麗事ばっかり言ってんじゃねぇよ!

じゃああの時、あいつらに言い返せばよかっただろ!

「歌うのが好き」だって、「泣いてた」って、言えばよかったじゃねえか!


ないこ(揺れる瞳で): 怖かったんだよ。

本当のことを言ったら、誰も僕を好きでいてくれないって。


闇ないこ: だから俺が代わりに全部壊したんだ!

お前が黙って泣いてたとき、俺は全部叫んだ!

「ふざけんな!」って!

「認めろよ!」って!

俺が、お前の“叫び”だったんだよ!!


ないこ(静かに): ……わかってるよ。

君がずっと叫んでてくれたから、僕は今ここにいる。

君がいなかったら、僕はきっと壊れてた。


闇ないこ(少し戸惑った顔): ……は?


ないこ(涙を浮かべて微笑む): ありがとう、闇ないこ。

君は“僕の一部”だった。

全部を壊してでも、僕を守ろうとしてくれたんだよね。


闇ないこ: ……違う……俺はそんな……


ないこが一歩、闇ないこに近づく。


ないこ: 君を否定しない。

だって、君も僕だったから。

怒りも、苦しみも、悲しみも――全部、僕の心だったから。


闇ないこ: ……やめろ……やめろよ……!

俺は“敵”だろ!? お前が乗り越えるべき、闇の象徴だろ!?


ないこ(静かに首を振る): もう、乗り越えたりしない。

僕は“受け入れる”よ。

君がいてくれたことを。


闇ないこの手が震える。

目に見えないヒビが、その身体に走っていく。


闇ないこ: そんな顔……するなよ……

俺は、お前に壊されるために生まれたんじゃ……


ないこ(手を伸ばす): 違う。

君は、僕の“叫び”として生まれてくれた。

だから今度は、僕の“声”として、生きてほしい。


ないこの手が、闇ないこの胸に触れた瞬間――


パリンッ、と音を立てて、空間が割れた。


***


深層――

静かだった白の世界に、光と影が交差する。


累と冬心が、静かにその様子を見守っていた。


冬心: ついに……向き合ったね。


累: 受け入れるって、壊すよりずっと難しいことだよね。

でも、ないこはやっと“壊さずに叫べる自分”を手に入れた。


冬心(微笑む): さあ、ここからだ。

彼が本当の意味で“ないこ”になるまでの旅は、まだ終わっていない。


***


現実世界――


粉々に砕けた鏡の破片の中に、光が集まっていく。


闇ないこは、崩れゆく自身の姿を見つめながら、初めて静かに呟いた。


闇ないこ(小さく): ……悪く、なかったな。

お前が、俺を否定しなかったこと。


そして、その身体は淡い光となって、ないこの中へと戻っていった。


ないこは、そっと目を閉じた。


ないこ: おかえり、“僕”。


次回:「第十五話:名前の意味」へ続く

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