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〈ニグ視点〉
「はっ…はぁ…」
俺の体は寝汗でびしょびしょだった。
なんか、悪夢を見ていたような気がする…
うたいさん…?凸さん…?
何故か二人の姿を思い浮かべた俺は、スマホに通知が届いていることに気付く。
「はっ…ぁ”、ぅ”ぇ”…」
ここ数日続いていた吐き気が一気に増した。
俺の涙が、スマホの画面に叩きつけられる。
『思い出の場所にいるよ。バイバイ』
うたいさんからの、メール
その一文だけで、俺は全てを理解してしまった。
そしてコートも着ずに外に飛び出していた。
二人の思い出の場所、付き合ったあの日。
辛かったけど、あの日吹っ切れたはずなんだ。
二人を上手く二人きりで行かせるように、二人の背中を押して
そして、結ばれた…遊園地の観覧車で
でも、あの二人は…秘密の場所に行っていたんだ。
二人の邪魔をするのは悪くて、皆で二人があの場所に行くのをこっそり見送ってから、帰ったんだ…
遊園地の近くの丘の上
ベンチが1つだけある。ほんとに秘密の場所
…着いた
けど二人の姿はどこにもない。
…!?どこ、どこ…
…いや、居る。
そこに…
俺は柵に手を付けて、下を見下ろす。
「…あ、あ…」
駄目だった。後悔してもしきれなかった。
「ぅ”、ぁ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
〈べる視点〉
まに、あわなかった…
さもさんと一緒にあの場所から少し離れた場所に着くと、そこには赤色が広がっていた。
…ねえ、なんで
なんで二人はそんな幸せそうな顔してるの…
お互いが寄り添うように、幸せな笑顔を浮かべたまま、二人は眠っていた。
こんなの、こんなのハッピーエンドなんかじゃない…
残された者にとっては、バッドエンドだ。
ふと、さもさんが二人の側に居るのに気付いた。
さもさんは凸さんの手を取った後、苦しそうに、静かに泣いていた…
…ごめんなさい
二人に幸せで居て欲しかったんだよ。愛し合ってて欲しかったんだよ…
後悔してもしきれない。ならこの悲しみを背負って私たちは生きるしかない。