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「……なるほど」

「だからお願いがあるなの! わらわの魔石を使って、もう一度ガチャをして欲しいなの!」

「もちろんそれは構わないことだよ。でも、解決するかどうかは分からない。それでもいいかい?」

「イスティさまには文句を言うはずがないなの!」

「分かったよ、フィーサ」


ルティから全身マッサージを施され、睡眠効果も得られた。その結果、おれは力がみなぎって仕方がない状態にまで回復。そして今は悩みまくるフィーサの部屋の中にいる。


彼女は今まで何の意識もせずに人化することが出来ていた。剣のまま長い時間が経っても何ら不思議も無く、不調すらも感じなかった。しかし今彼女が感じているのは人化出来ないことの不安のようだ。そんな状態の彼女がおれに頼んできたのが、専用魔石でガチャをして欲しい――ということだった。


ガチャで解決出来るのかは不明だ。だが彼女の成長が関わっているとすればやってみるしかない。


【Uレア 原初の光 潜在スキル:フィーサブロス】


あれっ?


やってみたはいいが、たったこれだけなのか?


「イスティさま? 何が出たなの?」

「いや、それが……」


装備やアイテムなら目に見えて示せるがスキルはおれにしか見えない。スキルについてはありのまま伝えるしか無いが……。


「げ、原初!? それもわらわが条件に? ふむむむ……」


出たルーンをそのまま伝えると、フィーサはうんうんと頷いている。彼女にしか分からない知識なのだろうか。


「こうしちゃいられないなの!! イスティさま、今すぐわらわを手に! 手にしたら南に向かって出発して欲しいなの!」

「そうするけど、南に何が?」

「虎娘も小娘もすぐに呼ぶなの! 早く早くなの!!」


フィーサの慌てようはただ事じゃない。悪いことというより、彼女にとっていいことが起こる感じだ。


「他に何か必要な物はあるかな?」

「そんなのはイスティさまのガチャで何とかすればいいなの!」

「そうか……、遠い所に向かうってことだね」

「わらわは急いで虎娘を起こしてくるなの! イスティさまは先に外に出て待ってて欲しいなの」

「わ、分かった」


何百年ぶりの成長による不具合、それとも彼女自身の問題か。これは長い旅になりそうな気がする。シーフェル王女となった彼女の行方や共和国の動向も気になるが、それら全てはラクルに戻って来てからになりそうだ。


「――というわけだから、ルティも準備を整えて外に行くぞ!」

「お任せくだ――」


「ギニャァァァァ!?」


悲鳴に似た鳴き声はシーニャか?


気持ちよく眠っていたはずのところにフィーサが行った……ということは恐らく。


「ええっ!? な、何ですか、今の悲鳴は……」

「……問題ない。気にするな」


慌てていたフィーサが容赦ない起こし方でもしたに違いない。


「ところでアック様。これからどこかに歩いて行くんですか?」

「馬車を使って行くことになるが、歩くのは途中までだな」

「おぉ~! それは楽しみです!」


ラクルからは船に乗って西のレザンスに行くことも出来る。しかし行き先が南のどこかになるとすれば、陸地をかなり進まなければならない。


ラクルは東端に位置する小さな倉庫町。おれがワイバーンに襲われた石窟や、点在するダンジョンも同じエリアにある。Sランクの連中に限らず冒険者好みの土地だ。だが、南の彼方には行ったことが無い。


それだけにその土地に何があるか分からないままだ。


「ウニャァァッ!! アック。シーニャ、ダメージがあって歩きたくないのだ! だから今すぐシーニャの耳を撫でて欲しいのだ!」


どうやら虎耳を噛まれたようだ。当の本人《フィーサ》は何食わぬ顔でおれの手元に収まっている。シーニャはルティとはまるで合わずにケンカばかりする。しかしフィーサのしたことにはあまり気にしていないようだ。長く一緒にいたことで分かり合ったのかもしれない。


「アック様、アック様! わたしの耳もぜひぜひ~」

「うるさいのだ、ドワーフ! お前は黙れなのだ!」

「な、何ですとぉぉ!!」


二人の強さはその辺の冒険者とは一線を画している。そう考えると、仲違いしながらでも何とかしてもらわなければ。


「それで、フィーサ。どこに行こうとしているんだ?」

「南端の神族国家、ヘリアディオス……」

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