ー〖あのぅ…。覚えてる?〗
細くて消え入りそうな声が冷たい風とともに
街の騒音に溶けていく。
(また 逢えた。奇跡的に…)
蓮は喜びを抑えながらも1歩ずつゆっくりと
彼女の方へ進んでいく。
「もちろんだよ。お礼が言いたかったんだ。あの時は何も言えなかったから。」ごめん、と言いながらもつい笑ってしまう。
〖具合い大丈夫?あの時結構酔っ払ってたでしょ?なんか変だったから。〗
変だった?確かにちょっと酔ってたかもだけど…?特に思い当たる節が見つからない。
〖ねぇ、こんな時間になんでここに居るの?
この辺 治安あんまり良くないんだけど。〗
「え?じゃ君は?」(女の子なんだからむしろ危ない気がするんだけど。)
〖これから仕事なの。この先に仕事場があってこの公園通った方が近道だから。〗
「え?こんな時間から仕事なんだ?」一体何の仕事なんだろう? 蓮は興味津々になる。
元々人に関心を持つことは意識してしないようにしていた。【キズツクノガ コワイカラ】
それでも彼女の事は全てを犠牲にしても知りたかった。例え傷つくことになったとしても…。
(なんだろう この気持ち……胸が締め付けられるような感覚)
〖私も気になってた、あの後ちゃんと帰れたかなって。大丈夫ならいいんだ〗じゃ、仕事だからと歩いて行ってしまう
蓮は背中に向かって声をあげる。
「また … また会えないかな? 逢いたい。ゆっくりと話したいんだ。君と…。」
彼女は不思議そうな顔を一瞬浮かべたが、小さく頷いた。そしていつもの大きなカバンから水色の折り紙の裏に走り書きで何かを書いて紙飛行機にして飛ばしてきた。
〖じゃあね!〗笑顔で走っていく。
目の前に飛んできた紙飛行機を拾う。とカワイイ字でこう書いてあった
〇〇〇ー〇〇〇〇-〇〇〇〇…………
来週金曜 夜10時以降ならいいよ 紫苑
紫苑(しおんって読むのかな?)可愛い名前。
金曜日夜10時かぁ。その日は夕方まで収録があるけど大丈夫そうだな。
蓮は久しぶりに笑っていた。
続く
コメント
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蓮くん会えてよかった...女の子の仕事って何だろう、?(10時以降だから結構遅い時間帯にやる仕事よね(? 〈作者様へ〉 今回もまじで最高でした✊🏻⸒⸒また今回も♡押させていただきますっ…!