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恵
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#連載小説
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星キラリ

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八尺様から助けられた金髪の美少女探偵は、黒髪ポニーテールの加賀美に、強く抱きついた。
「加賀美警部補……助けてくれて、ありがとうでごぜぇやす……! 怖いから、一緒にいてくだせぇ……」
泣きながら縋る声に、加賀美は短く息を吐いた。まずは縄を解く。手首と足首の赤い跡を確かめ、口の布も外す。姫は解放された腕で、すぐにまた加賀美のジャケットに顔を埋めた。
そのとき、加賀美の鼻が微かに動く。
「……おしっこ、漏らしたのか」
静かな問いかけに、姫の顔が一気に真っ赤になった。否定も肯定もできず、ただ俯く。加賀美はそれ以上責めず、腕を回した。
「それなら、まず温泉で洗おう」
そう言って、姫をお姫様抱っこに持ち上げる。姫は恥ずかしいのに、加賀美の胸元に顔を預けた。心拍が近く、安心と羞恥が同時に込み上げる。廊下を歩き、湯気の漂う脱衣所へ。
浴衣を解かれる。加賀美の指は淡々としているのに、触れられるたびに肌が熱を持つ。加賀美も自分の服を脱ぎ、二人とも全裸になった。湯船に入る前に、洗い場の椅子に姫を座らせる。
「動かなくていい」
加賀美は湯桶の湯を手に取り、まず姫の肩から流した。金髪のゆるふわを一つにまとめ、首筋、背中、腕へと、丁寧に泡を伸ばしていく。恐怖で強張っていた筋肉が、熱い湯と柔らかい手のひらで少しずつ解れていく。脇の下、肋骨の線、お腹。視線を逸らしたまま、加賀美は淡々と作業を続ける。
そして——おもらししてしまった腿の内側へ。
「……っ」
姫が小さく声を漏らす。加賀美は「かぶれると大変だから」とだけ言い、泡をつけた手で優しく、丹念に洗った。太ももの内側を、円を描くように。恥部の周辺も、医学的な手つきで、しかし決して雑には扱わず、汚れを落とす。熱い湯で流し、もう一度泡を立て、再び流す。姫は両手で顔を覆い、耳まで赤くなった。
大好きな人に、こんなところまで洗ってもらうなんて。
乙女の感情が、胸の奥で爆発しそうになる。それでも拒否はできなかった。加賀美の手が、自分よりずっと大きくて、温かくて、確かだったから。
「……自分で、洗いますでごぜぇやす……」
「今はいい。終わったら交代だ」
やがて一通り洗い終え、二人は湯船に肩まで浸かった。岩のぬくもりと湯気が、夜の恐怖を少しずつ遠ざける。今度は姫が加賀美の背中を流し、加賀美が姫の髪を洗う。シャンプーの香りが湯気に混じり、指が頭皮をマッサージするたびに、姫の目が細くなる。恐怖は、確かに薄れていた。
上がって浴衣に袖を通す。髪を軽くタオルで押さえると、姫は加賀美の袖を握った。
「一緒に、寝て?」
いつもの変な口調は、なかった。ただの、素直な願いだった。加賀美は姫の金髪に手を伸ばし、ゆっくり撫でる。
「……わかった」
二人は加賀美の布団に並んで横になった。暗い天井を見上げ、しばらく沈黙が落ちる。姫が、小さな声で切り出した。
「ずっと、好きでした」
加賀美が横目で見る。姫は布団の端を握りしめ、続けた。過去に巻き込まれた凄惨な事件のこと。そのとき助けてくれた人が、加賀美に似ていたこと。似ているというより——もしかしたら、同じ人だったのかもしれない、という想い。加賀美は即座には否定しなかった。ただ、静かに言った。
「君は、まだ学生だから」
やんわりとした拒絶。姫は首を激しく横に振る。
「嫌! 私は、加賀美警部補のこと、諦められない!」
加賀美は少し困ったように、しかし優しく、もう一度金髪を撫でた。
「卒業したら、また告白してね。それまで……考えさせて」
姫の瞳が、暗がりの中で灿めいた。
「早く、卒業したいです……!」
加賀美は天井を見た。部下の武藤にも好かれている。どちらと付き合うか、まだ決めていない。見当違いの推理ばかりするくせに、いつも一生懸命なこの探偵が、少しだけ愛らしく思えてしまう。そんな自分が、今は少しだけ、厄介だった。
続く。
コメント
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「わあ……なるほど、やっと加賀美さんが本心を見せてくれた感じがして、温かい回でしたね」 八尺様から助けた後の、あのまるで傷を舐め合うような湯浴みのシーンがすごく印象的でした。特におもらしの後始末を「かぶれるから」と医学的に処理する加賀美さんの距離感が絶妙で、それがかえって姫さんにはたまらなかったんだろうなあ……。 告白を「卒業したら」と保留するのも加賀美さんらしくて、でも「考えさせて」の一言に彼なりの誠実さが詰まってました。武藤さんとの関係もまだ決めてないってところ、続きがすごく気になります!