テラーノベル
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狭山さんは、酔いが冷めたような顔で俺の話を聞いていた。俺が話し終わって、狭山さんは唸った。
「緑さん、峰家っていうか、峰朝日さんがいきなりなんかおかしい、という風に言ってたんですよ……あかりさんへの求婚も、峰家というか峰朝日さん主体らしくて」
「峰朝日さんが変、ということはわかりますが、何を考えてるかっていうのは全然わかりませんね……」
「そうですね……うわー、こんなに飲むんじゃなかった、全然頭働かない! どうしよう、あかりさんになんか良からぬことあるかもしれないのに!」
狭山さんは頭を抱えた。
「とりあえず、今日はお酒ここで打ち止めにしません?」
俺は申し出た。狭山さんがやけ酒したい気分なのはすごくわかるけど、俺は友達に酒飲み過ぎで心身を害してほしくない。
狭山さんはうなずいた。
「そうします……緑さんは、今の和泉さんの話知ってるんですか?」
「峰家の申し出は緑さん経由でもらったのでそれは知ってますが、断った以上のことは伝えてません。でも、峰家じゃなくて峰朝日さんが明らかになにか企んでるっぽい、というのは伝えるべきかと」
「そうですね……すみません、僕今だいぶ酔っちゃってるんで、緑さんへの連絡お願いできませんか?」
「伝えておきます」
俺はしっかりとうなずいた。
その後は二人で刺し身だけ食べて片付け、俺は少し早めに狭山さんちから帰って、帰り途中の電車で緑さんへ峰朝日さんのことを連絡した。すぐに既読はつかなかったけど、まあ、夜だし。明日の朝見てくれれば。
家に帰ると、『お、なんか早かったな? 狭山先生と楽しかったか?』と千歳が迎えてくれた。
俺はなんて言っていいか迷い、結局こういった。
「……狭山さん、困った事態になってる。峰朝日さんのせいで」
『え?』
千歳はきょとんとした。玄関で長話というわけにも行かなかったので、俺は靴を脱いで手洗いうがいをしてから、千歳にあらましをきちんと説明した。
『え、峰朝日さんのせいで狭山先生結婚だめになって、ていうか、そんなじゃ、あかりさんもなんか危なくないか!?』
俺は深くうなずいた。
「そうなんだよ。緑さんにこっちのことも伝えて注意喚起はしたんだけど」
「あかりさんにも伝えないか?」
「……伝えるだけ、伝えとこうか」
俺は金谷さんにも事情と峰朝日さんへの注意喚起のLINEをした。しかし、既読はついたものの、「もう、私の一存ではどうにもなりません」の一言が返ってきただけだった。
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コメント
1件
寺島あおいです🌷 峰朝日さんの行動がじわじわと不気味さを増してきて、読んでいてすごくもやもやしました……。狭山さんが酔って頭を抱えるシーン、友達だからこそ心配でたまらない気持ちが伝わってきて、胸がギュッと苦しくなりました。あかりさんに伝えても「もう私の一存ではどうにもならない」と返されるのも、なんだか無力感がじんわりと広がって切なかったです。続きがすごく気になります。