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薄暗い空間冷たい風がゆるやかに
吹き抜ける
いるまは何かを探すように足を
動かしていた
目の前には、笑顔で駆け回る少年
毛先だけが赤い、その顔はまぎれもなく
“なつ”だった
ー
72、早く来いよ!!
220、ッ…待てよ!
ー
声にならない声を振り絞って追いかける
けれどなつは振り返らずに笑いながら
遠ざかっていく
ー
220、もっと一緒にいたかったのに…
なんでッ……思い出せないんだ?
ー
掌に残る温もり
けれど指の間から零れ落ちる砂のように
記憶は薄れていく
ー
いるま、なつ……また会いたい
会えたら今度は必ず…、、
ー
窓の外の街のざわめきが
まるで嘘みたいに遠く感じた