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#一次創作
ruruha
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「…………」
結論から言えば、見事壁を越えるのに成功。
通ったっていうより、落っこちたって感じ。
体中打ち身や擦り傷だらけになっちゃってしばらく立ち上がれないとか、そういうことは達成感の前では大したことじゃない。
まあ、そんなには。
滲んだ涙を拭いて、よろよろ立ち上がる。
落っこちた先は狭い通路になっていて、目の前にはすぐに急な階段が迫っていた。
壁を見ると、レバーがついている。
「…………」
少し迷ったが、レバーを引いてみることにした。
途端軽い地響きがして、砂埃と一緒に横の壁がーー落とし戸が持ち上がっていく。
収まりゆく砂埃の中で、さっき苦労して持ってきた樽が鎮座していた。
どうやら落とし戸の開閉レバーだったようだ。
良かった……これでもう壁を乗り越えて落っこちるなんて、しなくて済むわ。
打ちつけて痛む肩をさすりながら、ほっと息をつく。
急な階段を上がると、渡り廊下に出た。
廊下は、高い位置で部屋を横切っている。
まるで部屋の中に橋がかかっているみたい。
結構な高さがあるのに手すりがないので、ちょっとひやっとした。
ここは……もしかしたら、中庭の開かずの扉の中?
自分の脳内地図と照らしあわせて考える。
うん、多分そう……。
窓から青白い月の光が差し込んでいた。
お堂……なのかな。
暗くて奥の方はよく見えない。
通路の縁に膝をついて、下に広がる空間を覗き込む。
「リズ!」
私の声が軽く反響。返事を待った。
でも何の物音も返ってこない。
リズもお化けもいない。
小さな息をついて、立ち上がった。
渡り廊下の東側、階段の終わりにドアがある。
そこをくぐると、柵の向こうの風景に見覚えがあった。
回廊の東奥の部屋だ。
向こうから入れなかった柵の内側に出てきたのね。
少し辺りを調べてみよう……。
狭い柵の中には、石の机と内扉がある。
内扉のとってを引いてみる。
やっぱり、カギがかかってる。
カギを開けないと、こちらからでも開きそうにない。
一応辺りを探してみたが、カギの類は見つからない。
そうそう、都合よく落ちてたりしないわよね……。
柵を突き抜けて置かれている石机の上には、古い手錠が乗っていた。
「ん……?」
石机の影の床に、鉄製の蓋が。
開けられそう。蓋だもの。よいしょ……。
取っ手を掴んで手前に引っ張ると、蓋がスライドして四角い穴が出現。
穴には垂直にハシゴが下りている。
下りられるみたい。
ハシゴを下りると、そこにはぽっかりと大きな穴が空いていた。
ううん。
部屋に穴が空いていると言うより、部屋自体が穴だった方が正しい。
床がすこんと抜け落ちてしまったみたいだ。
大きな穴の上には、吊り橋がかかっている。
これ以上にないくらい、頼りげのない吊り橋だ。
恐る恐る穴を覗き込んだ。暗い穴に底は見えない。
底、あるのかな。
落ちたら、どこまでもどこまでも落ちていきそう。
部屋の両側の壁は、上の階から落ちている水で覆われていていた。
水は壁を伝い、音もなく穴へ飲み込まれていく。
橋の向こう、正面にドアが見える……。
ここは奈落の間。
奈落にかけられた吊り橋は、見た目よりしっかりしている。
できれば吊り橋じゃなくて、もっとしっかりした橋にしてほしかった……。
扉をくぐると、階段と四角い大きな穴があった。
大きな穴を通る。
「リズ……」
ようやく池の東側へ辿りついた。
けれど、そこに彼女の姿はない。
ただ静かな池が微かに水面を揺らめかせ、出迎えた。
当たり前か……。
ここを出ていく姿を見たもの。
ここに来るまでに、少し時間かかっちゃった……。
きっとこの近くにいるわ。他の所を捜してみよう。
階段を上ると、一階の部屋には小さなポンプがあった。
絶え間なく水が噴き出されている。
水は金網の張られた床下に落ちて、更に部屋に巡る溝へ流れ込んだ。
そこから階下へ流れ落ちている。
この水は、中庭の噴水と違って水が澄んでいる。
ここにも、リズはいない。
二階の扉に入る。
「わあ……!」
思わず声を上げた。
その部屋は本で埋め尽くされている。
壁に作りつけられた本棚の上は通路になっていて、階段で上り下りできるようになっていた。
そして、天井までぎっしりと本で埋め尽くされているのだ。
なんてたくさんの本!
全部読み終わるのに、どれくらいかかるのかしら!
その光景に圧倒されていると、背後から弱々しい声がした。
「……レナ?」
ハッとして振り返ると、本棚の影からボロボロのリズが姿を現す。
「リズ……!!」
彼女に飛びついた。
「レナ……会いたかった!」
リズは泣いている。
泣いているの、初めて見た。
私が泣かせた……。
そう思ったら急に涙が溢れる。
「私も……!一人にしてごめんね、怖かったよね……」
「会いたくてたまらなかったの……」
涙声でため息の如く呟いた。
「ごめんね……でも無事で良かった」
ぐすと鼻を啜り上げる。
「そうだ……足は?怪我は大丈夫?」
足を見ようと体を離そうとしたら、それを遮りリズは抱きしめた。
「平気、もうちっとも痛くないわ」
「そう……?それならいいんだけど……」
「うん、でも本当に……会えて良かった」
突然彼女が悲鳴を上げて、私を突き飛ばす。
「リズ!?」
顔を押さえて、呻いていた。
その側に軽やかな音を立てて、すすけたコインが転がる。
「ど、どうしたの。何……」
声はそこで凍りついた。
リズ……舌……?
それを確かめる間もなく、小さな背中が私の目の前に飛び降りてきた。
「下がって!」
「フレディ!?」
上の通路にいたのだろうか。
私には何が起きたのか、わからない。
何が……何が起きて……!
状況が理解できない私の前で、彼が銃を構えた。
「!?……だ、だめっ!」
咄嗟に後ろからフレディのコートを強く引っ張る。
がくんと体勢が崩れ、同時に発泡音が響いた。
ぎゃあああっとリズが吠える。
銃弾が彼女の肩を貫いた。
その口から伸びるのは長い舌。
わからない。わからない!わからない!!
コメント
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うわああリズの変貌に鳥肌立った😭💦 レナと再会できた感動で泣いた直後のあの展開、心臓止まるかと思ったよ…!フレディが割って入ってくれたけど、あの伸びる舌がもうトラウマレベル。何がどうなってるのか全然わかんないもどかしさと恐怖がすごい…。でも本の部屋にテンション上がるレナ可愛かった笑 次が気になりすぎるよおおお😭💕