私
には、もうわからない……。
私の好きな言葉じゃないけれど……。
だからといって否定はできないだろう? 人間らしさなんてものは、所詮相対的なものだからね。
君がどんなに苦しんだところで、誰も認めてくれないさ。
それに、君は最初から間違っていたんだよ。
自分の弱さに負けた時点でね。
それでも足掻くつもりかい? それは無駄なことだよ。
人は変わることはできない。
その先に待つ結末は決まっている。
諦めることだ。
今のままじゃあ、君は永遠に救われないよ。
そうだなぁ……。
それならいっそ、すべて忘れてしまえばいいんじゃないかな? 僕が君の夢になってあげるよ。
そうすれば楽になれるかもしれないぜ。
僕は君のことをよく知っているからねぇ。
僕の言うことを信じれば、すべてがうまくいくはずだよ。
ほら、こっちへおいで……。
ふとした拍子に、心の奥底からわき上がる衝動……。
その瞬間、理性はどこかへ吹き飛んでしまう。
人前で醜態を晒す前に抑えておかなければ……。
そう思っていても、いつの間にか身体の方が動いている。
人間には本能があるのだと言い訳してみても、結局は同じことなのだ。
それは人間の尊厳の問題でもある。
社会生活を営む上で、常に付き纏う問題だ。
だからといって、開き直るとロクなことにならない。
人生において、後悔だけはしたくないものだ。
だがしかし、人間には限界があるからして、常にベストの選択ができるとは限らない。時には間違えることもあるだろう。その時にどうするか?それが問題だ。
例えば、「もうダメかもしんない……」と思った時に諦めるか、最後まで足掻くか。これは非常に重要な選択になると思うのだ。
俺はどちらかといえば前者の方だと思う。ただ、その時々の状況によっては後者を選ぶこともあるかもしれない。それはたとえば、「目の前にいる人間のために自分の命を犠牲にできるか?」という問題に直面した場合だ。そのとき俺にはふたつの選択肢があると思う。自分が死ぬ代わりに相手を助けるか?それとも相手を生かすために自分も生きるのか? 前者はまさに英雄的でヒーローらしい選択だし、後者は現実的かつ平凡な判断と言えるだろう。しかし、残念ながら俺はどちらをとることもできそうもないのだ。なぜなら俺は、後者の選択肢を選んでしまうような弱い人間だからである。
―――
「えーっと……それじゃあ今日から君たちと一緒に勉強することになった新しい先生を紹介するよ~!」
担任の教師の声を聞き流しながら窓の外を見る。外では桜の花びらが舞っている。4月になったばかりの空はとても綺麗だった。
「名前は相川七瀬さん!みんな仲良くしてあげてね!」
教室の中を見渡すと、緊張している様子の女教師がいた。顔立ちはかなり整っており美人と言って差し支えないレベルだが、表情が硬いせいかあまりモテそうなタイプではない気がする。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!