・消えた少年
幼い頃、長期休みには毎日母方の実家に帰省していたので、近所の子供たちと仲良くなり、よく遊んでいた。
ところがある日、かくれんぼ中に1人が行方不明になってからは、その地を訪れるところはなかった。
ふと俺は、当時、大人に絶対に入っては行けないと言われていた廃墟があったことを思い出した。
ヤンチャな彼のことだ。
もしかして……と、久しぶりに廃墟に向かう。
中に入ると、床にぽっかりと空いた穴の中で、彼が両手を振って必死に助けを求めていた。
説明
語り手は幼い頃、一緒に遊んでいた子がいなくなったと言っているにも関わらず、何年も経ってから訪れた廃墟の中で、消えた少年が助けを求めて手を振っていることなどありえない。
彼はもうこの世のものではないことは明らかだ。
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