テラーノベル
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このお話は1話完結です!!
⚠️ キスシーンがあります
実際のお話とは異なる部分があります
若干14さん病み気味かも…
絶望的に下手
これらが大丈夫な方は行ってらっしゃい👋🏻゛
12→「…」 14→『…』
練習が終わり、辺りはすっかり暗くなった頃。
体育館には、シューズが擦れる音とボールが床へ叩きつけられる音が、ただ響いていた。
『…足りない。』
威力も、スピードも、コースも、安定感も。
祐希は広い体育館でたった1人、自主練をしていた。
日本が惜しくも敗戦したあの日。
俺がちゃんとチームを引っ張っていかなくては…点を決めていかなくてはならなかった。
悔しさで顔を歪め、涙を流す仲間を思い出す度、何百回、何千回も考える。
…でも、考えているだけでは変わらない。
ただただ打つ。納得の行くまで。
それしか、方法が分からなかった。
再び、ボールを手に持つ。
何回打ったかも分からない、
手は赤く染まり、静かに震えていた。
『(…もう一回。)』
ボールが手から離れ、ふわっと宙に浮く。
そして、床を蹴りあげ、空中に体が飛び上がると
『ふっ!!』
キュッ… ーーバァン!!
渾身の力でボールを撃ち抜いた。
乾いた音と共に、ボールが力強く床へ突き刺さる。
しかし、ボールは僅かにコートのラインから出ていた。
ふぅーと息を吐くと、
『(さすがに集中力切れてきたな…)』
少し休憩しようと、壁際のベンチへ向かう。
ドカッと壁に寄りかかり、タオルを頭の上から被った。
すると、その時。
「祐希さん」
柔らかくて、優しくて、力強い
聞き馴れた、一番安心する声。
心臓がとくんと跳ねる音がした。
ゆっくりと、その声がする方へ向き合う。
『…藍』
そう小さな声で呟くと、
藍は優しく微笑みながら隣に座った。
肩が触れ合う距離。
心地いい静かな時間が、ただただ流れる。
すると、藍がそっと口を開いた。
「また、自主練してたんですね」
『…うん。まあね』
「いい事ですけど…無理はあかんよ」
『分かってるって。』
そう笑いながら答える。
すると、藍の纏う空気が一変した。
「分かってないから、言ってるんです」
先程の声とは違う、鋭く怒りを含んだ声。
「どう見たって無理してるでしょ。何本打ったんですか、その手」
真っ赤に染まった右手を、顎で指しながら言う 鋭い眼差し。でもその中には温かさが籠っていた。
本気で心配してくれている。
それが身に染みる程伝わってきた。
でも、それでも…
『俺は、大丈夫だから。したいからやってる事だし…もうちょっとで終わるから、先帰ってて』
タオルをベンチに置くと、重い身体を起こす。
そして再び、コートへ歩き出した。
「(…小さい。)」
チームを引っ張り鼓舞する、頼もしい、自分よりも遥かに大きな背中。
それが今の彼には無かった。
キャプテンとしての、エースとしての重荷。
それがずっしり押しかかっている。
顔は疲れきっていて、不安と苦しさが渦巻いていた。
それでも、少しも弱みを、隙も見せない。
その姿にズキンと胸が痛む。
…ガシッ
『藍…どうした…?』
考える前に、体が動いていた。
俺は祐希さんの腕を優しく、それでも確実に掴む。
その掴んだ逞しい腕は、微かに震えていた。
「祐希さん。」
「なんでそんなに自分を追い込むんですか」
『……』
祐希さんは、俯いたまま。
それでも諦めず、問いただす。
「俺、ずっと心配なんです…祐希さんやから。」
「…話してくれませんか」
藍は祐希の背中に腕をまわすと、自分の身体に引き寄せ、そっと抱きしめた。
優しく、その縮こまった背中を撫でる。
すると、祐希さんがゆっくり口を開いた。
『…あの日、俺がもっとみんなを引っ張んなきゃいけなかった。もっと決めなければならなかった。』
『だからもっと強くならなきゃって、もっとチームに貢献しなきゃって、たくさん打った』
『でも、思うようにいかなくて…』
言葉がひとつひとつ、零れていく。
藍は黙って頷きながら聞いていた。
『ねぇ…藍。俺、どうしたらいいの』
「…!」
震えた声。
藍が驚いて顔をあげる。
祐希は…泣いていた。
目に溜まった涙が、頬を伝って流れていく。
『しんどい、苦しい…』
祐希の中で何かが切れた。
破れた心の中から、どんどん零れ、崩れていく。
「(あぁ…この人はずっと、)」
たった1人で、戦ってきたんだ。
藍は親指で、優しく涙を拭う。
そして、涙の跡が残るほんのり赤い頬に、両手を優しく添えると、
…ちゅっ
優しく口付けた。藍が舌を入れると、それに応えるように祐希の舌が絡み合う。
『ん…、ふ』
湿った音と、お互いの吐息が混ざり合う。
弱い所をそっと舌でなぞると、びくんと体を震わせた。
『ぷはっ…』
そっと、唇を離す。
祐希さんの身体が、ぐったりと寄りかかる。
そして、すっかり脱力したその身体を、再び強く抱きしめた。
「…1人にして、ごめんなさい。」
「辛い思いさせて、ごめん」
もう1人にはさせまいと、より強く抱きしめる。
「次からはちゃんと俺に言って。祐希さんが1人で抱え込む必要なんてないんです。キャプテンの役割は、そこじゃないでしょ」
『…っ、らんのばか』
「…はいはい。ばかでいいですよ」
身体を縮こませ、腕の中で嗚咽を漏らしながら涙を流す祐希さん。
その小さな泣き声が、2人のいる大きな体育館に、静かに響き渡っていた。
『…ありがとう、藍……すき』
「俺も。だいすき」
最後まで読んでくれてありがとうございました!!😻
めちゃボリューミーになっちゃった、、、
(理由:切るところが分かりませんでした)
あと…!!祐希さん誕生日おめでとう🎂💕
いい年にしてください😿😿これからも応援してます!
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