テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
【宮舘side】
幼なじみの翔太から「年下彼氏と同棲を始めた」と連絡があった。性的指向は知っていたが傷付く姿も見ていただけに、素敵な人に出逢えたんだろうと嬉しく思う。彼氏を紹介したいから家に来いと頻繁に連絡が来るが、それにはあまり乗り気になれなかった。
[まだ落ち着かないでしょう?]
[せっかくの休みなんだから2人で過ごしな]
[また、ゆっくり時間あったらね]
と、のらりくらりと躱していたが、数ヶ月経過すると「いい加減に来いよ!」と怒り気味の電話を貰い、渋々了承せざるを得なかった。
約束の日曜日。インターホンを押すと、ドタバタと足音が聞こえ、翔太が飛び出してきた。
💙涼太!いらっしゃい!…久しぶり
…何をはにかんでるのだ、こいつは。照れたように頬を染め「来てくれてありがとう」と言う幼なじみにちょっと引きつつ挨拶をする。
❤️今日は呼んでくれてありがとう。これ、
と言いかけたところで、翔太の肩越しにぴたりと寄り添うようにして男が顔を出した。口元こそ微笑んでいるが、翔太の肩をしっかり握りこちらをまっすぐ見る目は、明らかに警戒を隠していない。
💙あ、康二!待っててって言ったじゃん!
🧡だって翔太くん遅いんやもん。この人が翔太くんの?
❤️あ、みや…
💙待って待って!ほら入って!中でちゃんと紹介するから。
❤️ありがとう、お邪魔します。
午後の柔らかい光が差し込むリビング。L字のソファの長い方に2人が仲良く座る。
💙涼太!座って!どうぞどうぞ
翔太は終始にこにこしていて、少し浮き足立っているのが隠せていない。
💙あ、ねぇ!康二!コーヒー淹れてよ!
顔を覗き込んで甘える翔太を見るのは、ほぼ初めてだから何だかこちらまで照れてしまう。
康二は一瞬だけ涼太を見てから、ふっと視線を逸らした。
🧡……まぁ、ええけど。
警戒が解けたわけではないが、翔太に甘えられて断れるほど、康二は器用ではないらしい。
💙やった!康二の淹れるコーヒー、店より美味いんだよ!
と、自慢げな翔太と2人になり、自分も緊張していたことにふと気がつく。
❤️ごめん、先にトイレと洗面所、借りてもいいかな?
💙あっ、うん!えっとね、廊下出て右!
勢いよく指を差し、翔太はすぐに立ち上がる。
案内しようとする翔太を制し、耳打ちするとハッとした顔で頷きキッチンの方へかけてゆく。
リビングを出て静かに息を吐くと、たっぷり時間を使って身だしなみを整え始めた。
【向井side】
コーヒーねぇ。豆を見比べつつ息を吐く。幼なじみの彼が来ると決まってからの翔太くんは明らかに浮かれていた。毎日大掃除レベルで掃除をし、今朝は早起きしてギリギリまで服を悩んでいた。思い出してまたため息をついたところで「こーじ?」と弱々しく呼ぶ翔太くんの声が聞こえた。コーヒーを淹れる手は止めず、顔も上げずに「なに?」と答えた自分の声が思ったより冷たくて驚く。俺、こんなに嫉妬深かったん?
💙こーじ、ごめん。…俺、その、嬉しくて
視界の端で、下を向いて裾をもそもそさせながら喋る翔太くんを可愛いと思いつつも、上手い返しが浮かばないのでカップを出すフリをしつつ「ん」とだけ言う。と、背中に衝撃が走り翔太くんが抱きついてきた。「こーじ」と呼ぶ声がもはや涙声で慌てて振り返る。
🧡どしたん
💙怒ってるの?
🧡なんで?
💙だって、怖い顔してるよ、って、り、涼太が。
自分では隠せてると思ってたその指摘に驚くと共に、なーんにも気付いてなかった翔太くんに少し呆れる。
🧡で?大好きな幼なじみに言われるまで何も気が付かなかった翔太くんが、俺になんの用?
言わなくてもいいと頭では分かってるはずなのに止められなかった。
💙う。その、あの、涼太への気持ちと康二への気持ちは全然違う。だけど、どっちも大切で大好きなの。あと、涼太に康二の良いところを教えたくて、だから……
翔太くんの頬に手を添えてクイっと顔を上げると、そっとおでこにキスをする。
🧡わかっとるよ。俺の方こそごめん。
💙え?
🧡嬉しそうで、仲良さそうで、ヤキモチ妬いた
💙へ?
🧡可愛い翔太くんが盗られるんじゃないかって、
💙え、そういうこと?
🧡だから謝るのは俺の方。翔太くんの大切な人に冷たくしてごめんなさい。……おっと
わかりやすく体の力が抜けたので、慌てて抱きしめ支える。
💙なんだ、そっか、良かった。俺、なんか怒らせたと思って、もうダメになるのかとか思って、あ、あ、わぁーん!!!
泣き出してしまった翔太くんの背中をぽんぽんと撫でながら、ゆっくり呼吸を合わせる。
🧡ほら、泣き止み。大丈夫やから。可愛い顔が台無しやで。
唇が触れるだけの優しいキスをしてから、翔太くんをソファへ戻すと、改めてコーヒーを淹れる。翔太くん用のいい豆をいつもより少し丁寧に。
数分後、トレイにカップを乗せてリビングへ戻ると、ちょうど涼太くんも戻ってきたところだった。
❤️お待たせしました
翔太くんはさっきまで泣いていたことを誤魔化すかのように笑顔で迎え入れる。まだほんのり赤い鼻の先を見て一瞬だけ目を丸くして、それでも何も言わずに微笑んだ彼を見る限り、きっと全部お見通しだ。
💙じゃあ、改めて紹介するね。俺の彼氏で、一緒に住んでる向井康二。カメラマンやってるの。それで、こっちが俺の幼なじみの宮舘涼太。仕事はダンサー。インストラクターもしてるし、海外のショーにも出たことあるんだよ!
🧡どうも。向井康二です。
❤️はじめまして。宮舘涼太です。今日はありがとう。
🧡……コーヒー、どうぞ
カップを差し出すと、涼太は目を輝かせる。
❤️噂通りだ。いい香り
💙でしょ!俺、これ毎日飲んでるんだ!
❤️良かったね、翔太。優しい人なんだね、康二くん。
得意げな翔太くんと微笑む涼太くんを見ていたら、恋敵なんかじゃなくて兄弟と言った方が合ってるかもしれないな、なんて思い直す。
涼太くんは引越し祝いに、高級そうな岩塩と生わさびと鮫皮おろしをくれた。料理好きな俺と肉好きな翔太くんの間を取ったらしい。
ソファに並んで座り、たわいもない話をする。
仕事のこと、昔の話、付き合ってからの俺らの話、涼太くんの恋の話。(ちなみに海外で出会ったパリコレモデル兼ダンサーという爆イケ彼氏がいるらしい)
温かな光の入るリビングに翔太くんの笑顔が咲く。あぁ、俺のちっぽけなプライドのなんと杞憂だったことか。こんなに嬉しそうで幸せそうな翔太くんを見られるなら、早く呼んであげるべきだったと反省した。
コメント
10件
今井サンって 感情の機微を書くのが上手いよね🤔
まさかの🤍❤️も😳🫶🏻
なんかしょーたが可愛い