テラーノベル
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家で通信の大学のレポートを纏めていたら、阿部ちゃんから連絡があった。
💚『ラウの行きたがっていたアート展、今日までだよ。良かったら一緒に行かない?」
気晴らしになるし、行く、と返事してすぐに支度をして家を出た。
💚「派手だな。バレるぞ」
🤍「この身長だし、今さらだよ。気にしない」
全身黒ずくめで固めた阿部ちゃんとは違って、俺は好きなものを適当に着て出て来た。阿部ちゃんが唸るような声を上げている。
🤍「それよりありがとね、声掛けてくれて」
💚「うん。たまたま思い出して…」
言っている阿部ちゃんが少し照れた感じを出した。
これは……。
俺はわざと阿部ちゃんの手を取って、先導した。
案の定、顔が少し赤くなっている。
へぇ、阿部ちゃんって俺のこと…。
と、考えながらいいことを思いついた。
🤍「デート」
💚「は?」
🤍「これってデートだね、阿部ちゃん。嬉しい」
💚「え…」
赤くなって固まる阿部ちゃん。
俺の真意を図りかねているようだ。この際、阿部ちゃんの気持ちなんてどうでもいい。俺の練習台にさえなってくれれば。
阿部ちゃんの喜ぶこと、好きなことをさせてあげて、阿部ちゃんに先に好きって言わせる。
いつかそれがしょっぴーに活かせるように。
大体、俺からしょっぴーに告るとか絶対ムリ。
ちょい気持ちなしに抱かれただけであんなに平常心を失っている。勉強だって、簡単なところから、だんだん難しい問題を解いていくでしょ。この場合は向こうに好意があるんだから、初級編だ。万一告白されでもしたら、知らなかったふりして断ればいいんだから。
気になっていたアート展は、俺の想像通り素晴らしくて、色彩に興味がある俺には楽しい刺激の連続だった。ステージ衣装も最近は手掛けさせてもらっているから、すごくためになった。
💚「ラウって、特定な人とか、いるの?」
館内のカフェでお茶をしていたら、阿部ちゃんが探るような質問をして来たので、俺は予想が確信に変わる優越感に浸っていた。
そして、阿部ちゃんを改めて頭のてっぺんから爪先まで舐めるように見た。
阿部ちゃんは俺に見られている間、とても居心地が悪そうにしていた。
🤍「阿部ちゃんって首細いし、全体的に華奢だし、抱いたら壊れちゃいそうだよね」
💚「は?だっ、抱かれるとかないから!」
🤍「しっ。声落として。周りに聞こえちゃう」
カフェの席の作りはゆったりめで、席同士もそれなりに距離があったからいいけど、ちらほら俺のことがバレ始めている。芋づる式に変装している阿部ちゃんも認識されるだろう。
同じグループのメンバーだし、男同士だし、問題ないだろうけど、しょっぴーの耳には入れたくない。
🤍「今日はありがと。また遊ぼうね」
そう言うと、俺は伝票を持ってそのまま阿部ちゃんを置き去りにした。
コメント
13件
おいこらラウ!!笑笑
おいおい〜🤣 堕天使登場かよ〜🤭🤭