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肩を抱かれながら駐車場から部屋のある階までエレベーターで向かう。


廊下を歩きながら竜基さんはさっきの話の続きを始めた。


「だから、ゲスな話を聞いてチャンスだと思った。王子様のふりをして1ヶ月間縛り付けて俺を好きになってほしいと思った。必死だったよ」


え?「お見合いの回避って嘘だったの?」


「普通に断ろうと思ってたよ、大体において俺が見合いをしなければいけない理由なんてないし」


え??


「そもそも、相手が志摩とかあり得ない。昔、勉強を教えていた時に性格は分かっていたし、大人になって更に甘やかされていた事が感じ取れたしね」


確かに、自由すぎると言うか、我儘がすぎると言うか。


「俺が気に入らなければおふくろも何とも思わないしな、だから逆に見合いの話はいい口実だと思ったんだ」


カチャリとドアが開く


「まんまと策にハマったってこと?」


「まぁそうなるな。嫌いになった?」



気がつくと壁に押し付けられている。



「嫌いになるわけ無いって思ってるくせに」


パチンという音と共に明かりが着き、竜基さんの顔が思った以上に近くにあり表情が良くみえる。

その表情は柔らかそうに見えて、獲物をとらえた肉食獣のようにも見えた。


「よかった。好きだよ」


私の答えを知っていたくせに。


ゆっくりと唇が重なっていく、唇から伝わる熱で蕩けてしまいそうなる。

唇から頬、耳たぶに竜基さんの唇が移動していく水もないのに溺れそうで必死にしがみついた。

1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜

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