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みどりいろwith友
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ふゅう@低浮上
朝、俺の頭はぐるぐると落ち着かなかった。
理由は分かってる。
昨日のことだ。
屋上の、あの一件。
俺は当事者じゃない。
ただ、そこにいただけ。
偶然居合わせただけの、部外者。
――らっだぁ。
名前を知ったのも、昨日が初めてだった。
教室の窓から正門が見える。
らっだぁが、緑のパーカーを着た先輩と歩いているのが目に入った。
声は聞こえない。
パーカーの先輩が何か言って、らっだぁが笑った。
あの人、よく笑うな。
「⋯でも、」
昨日の夜、俺に向けたのは、あんな笑顔じゃなかった。
……俺は、見てしまった側だ。
見なかったことにはできない。
ふたりの影が、校舎内に入って見えなくなる。
らっだぁは、まるでこれが普通かのように振る舞ってる。
「普通」って、こんなに薄いもんだったっけ。
俺は部外者。後輩。
口を出す理由も、立場もない。
「⋯俺は、どうすれば、」
***
昼休み。
階段の踊り場から、廊下を見下ろす。
らっだぁ先輩が歩いている。
その少し後ろを、朝のパーカーの先輩が連れ立って歩いている。
あの距離は、なんだ。
俺は、見ているだけでいいのか?
俺は昨日、屋上で何を見たんだ。
⋯事実だけを並べるなら。
らっだぁ先輩は追い詰められていた。
けど。
抵抗するそぶりは一切無かった。
俺が知ってるのは、それだけ。
「何もしない」というのも、ひとつの選択だ。
それが、どう転ぶかは別として。
もし、またあんなことが起きたら。
そのときも、俺は観測者でいるのか?
それとも、
―――キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴る。
答えは出ないまま、俺は教室に戻る。
あの日の屋上の光景が、やけに頭に残っている。
……このまま、見ているだけでいいんだろうか。
俺はただ、事実だけを見ていた。
そのつもりだった。
なのに。
気づけば、らっだぁの背中を目で追っている。
俺には、もう関係ないはずなのに。
考えてしまう。
あの人は、なんで、
「⋯なんで、救われることを拒むんだ」
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コメント
4件
I love you 사랑합니다我愛你Я люблю тебя!! 訳 とにかく話の内容がめっちゃ好きです!!