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「君!大丈夫か?」警官の一人が疼くまる真一の肩を掴む。
「大丈夫なわけないでしょ!」
彼方の頭部を警官に突き出し警官が後退りする。
「頭部を地面に置いて、パトカーに行こう、まだ熊が周囲にいるかもしれない」
警官が宥めるように真一に語りかける。
警察に連れられてトンネルの入り口付近に停めてあるパトカーまで戻る。
「真ちゃん!」紗栄子が真一に駆け寄る、事情や状況は観光客の人が警察に話してくれていたようで、衰弱していた真一は救急車両にのり病院へ向かうことになる。紗栄子も付き添いで同情した。
「真ちゃん、車大丈夫?」
「あぁ、わかってる俺のじゃないと分かるのも時間の問題だ」
真一がすんなり救急車に乗ったのは、計算どおりであった。
警察があのセルシオの持ち主と自分のセルシオのありかを捜査して貰えるのを狙っていたのであった。
取り敢えず、真一と紗栄子は疲れ果て、病院のベットで眠りにつく。
西日の明るさで真一は目を覚ました。紗栄子はベットにもたれるように眠っていた。
スマホを見ると鬼のような裕己からの着信が残っていた。
「なんなんだ。この着信は?」取り敢えず裕己に電話をする。
「もしもし、どうした?」
「どうしたじゃねぇよ、飛鳥の探してた凛って子、岬の事故で見つかったんだょ」
「あぁニュースでみたょ」
「それと、お前のセルシオが漁港ちかくで燃えてたから心配したんだょ」
「待て!俺のセルシオが燃えていた?」
「中から男女の焼死体って話聞いて、お前かと思ったよ」
「ナンバーは見たのか?」
「お前と同じ888だったよ」
「もしもし、真一聞いてんのか?」
力の抜けた真一の手からスマホが落ちる。
男女の焼死体?一体誰だ?俺と入れ替わった奴か?真希さんの遺体は?
真一は困惑せざるを得ない状況だった。
大輝、凛、彼方、真希と謎の男性が死に自分のセルシオが消失した。
警察は俺を必ず疑うに違いない。死んだ男が全て行ったという確証もない。
彼方のスマホをもっと探るしかない。顔認証はもう使えないわけじゃない、真一はあの僅かな時間に自分の顔認証に上書きしていたのであった。