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可能性の
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※甚だしい捏造
※非日常な日常話
※実在の人物、団体とは一切関係ありません。
※軍パロです。
※以上をふまえて大丈夫な方のみおすすめください。
ゆっくりしていってね
残された皆が、とりあえず医務室の片付けをしていると、スピーカーから通信が入った。
『大丈夫か、みんな』
「グルッペン!」
『緊急マイクがオンのままやったから、そっちの状況はわかっとる。……大変やったな』
「トントン……」
スピーカー越しとはいえ、組織のツートップからのねぎらいが、何故か心に痛みをもって刺さる。
「すんません、エーミールは……」
『飛び出していったエーミールは、ゾムが追っとる。それより皆は無事か?』
『あのビオランテもどきに、やられた奴はおらんな?』
トントンの注釈で、その場の人間は皆を見回したが、幸い誰も蔓の攻撃を受けていない。
「この場の全員、異常なしです」
『了解。それだけでも僥倖だ』
「……エミさんが、燃やせいうてくれたから……」
「せやな。エミさんの指示がなかったら、今頃ここの全員が、ビオランテもどきになっとった」
往年の怪獣映画に出てきた植物怪獣の名前を出すことで、エーミールに取り憑いた植物の認識が共有された。
「にしても、あのビオランテもどき。一体何やったんや……」
『それについて、くられ先生達からの見解が出ている。彼らの中からも動ける者がこちらに向かってくれている』
「お。頼もしいッ」
「で、結局あのビオランテもどき、何なんや? グルちゃん」
『あれは』
ーーーーーーーーーー
エーミールは走った。
道なき道を。
離れなければ。そしてーー
左目から、涙が溢れる。
嗚呼、良かった。
俺はまだ『人間』なんや。
『人間』であるうちに、己に取り憑くバケモノを封じ込め、破壊せねば。
大事な。何よりも大事な仲間を助けたい。
バケモノの触手は、エーミールの脳をジワジワと支配しようとする。
『仲間を殺せ』
『武器庫を破壊せよ』
『機密文書を持って来い』
命令が直接脳に語りかける。
運動中枢をいじられ、最大限の能力を引き出すことで、誰もエーミールには追いつけていない。
人一倍の頑固でメンタルの強さをもって、思考まで乗っ取らせまいと抵抗を続ける。
道なき道を、ひたすら飛ぶように走るエーミール。
そうだ。連れて行け。
その先には
エーミールの左目に、崩れかけの尖った屋根が映った。
よく見ろ。
あれが、お前のご所望の
武器庫や。
ーーーーーーーーーー
「クッソ!! ホンマにエミさんか、あれ!」
獣のように疾走するエーミールを、ゾムが追う。普段のエーミールからは信じられないほどの速さで藪の中を駆けているため、さすがのゾムでも視界に入れるだけで精一杯だった。
呼び止めたい気持ちはあったが、グルッペンから『声を掛けるな』『逃亡先を確認せよ』という命令が出ていたため、歯痒い思いはあったがひたすらエーミールの行く先に集中した。
かなり長いこと追跡していると、ゾムにとって見覚えのある景色が見えた。
「しまった! あそこは」
ゾムの視界の先にあったのは、長いこと打ち捨てられた廃教会。
ゾムとエーミールが二人きりになる時の、秘密の場所。
エーミールの大好きな本や紅茶のセット。ゾムの秘蔵の武器や爆弾。
子供の隠れ家のような空間で、たまにこっそりと逢瀬を重ね、紅茶を飲んだり、武器談義をしたり、まったり過ごした憩いの場所。
「エーミール……」
どうして。
思い悩んでいる暇はない。
グルッペンの話だと、エーミールに取り憑いたビオランテもどきは、日没までに花を咲かせ、宿主を完全に乗っ取る。
エーミールの知識も記憶もそのままに、親株の元に戻っていくという。
それだけはいけない。
エーミール自身が、この軍の機密事項と言っても良いほど、立案された作戦も兵站の配置も行軍ルートも、逐一エーミールの頭の中に入っている。
知識も記憶もそのままにエーミールが敵側に渡れば、軍の崩壊を招く。
「だから…かっ!」
ゾムは吐き捨てるように叫ぶと、救難信号のスイッチを押した。
小一時間もあれば、仲間達が来るだろう。
だが、それまでにエーミールが、無事でいてくれるのか。
エーミールは、自身が徐々に乗っ取られていることを、理解しているはずだ。
それが意味することがどういうことかも、知っている。
そして廃教会には、ゾムの爆弾が。
「……アホなことすんじゃねーよッ! 自己犠牲精神なんざ、いらへんねんッ!!」
ゾムはグルッペンの『声を掛けるな』という命令も忘れ、廃教会に向かって走りながら叫んだ。
続く