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第十一章 「失われた記憶」
─放課後。
魔法学園アルカディア、旧校舎。
現在はほとんど使われていないこの場所には、昔の魔導書や古い魔法具などが保管されている。
9人は、その最奥にある資料室へと集まっていた。
pe「…ここ、本当に使われてないんですか?」
peが辺りを見回す。
pe「なんか普通に怖いんですけど……」
rd「pe、怖いのか?」
rdが聞く。
pe「いや!?別に!?」
rd「そうか」
pe「…先輩、絶対信じてないですよね?」
rd「うん」
pe「即答!?」
その様子を見て、snが笑う。
sn「peさん、こういうところ苦手なんですか?」
sn「sn!お前は平気なのかよ!」
sn「僕ですか?」
snは周囲を見回した。
sn「…ちょっと怖いです」
pe「お前もかよ!」
sn「でも、調査はしないといけませんから」
tr「偉いなぁ」
trが感心する。
tr「snさん、ちゃんとしてますね」
sn「trさんもですよ」
tr「俺は怖くないっす!」
kyo「強い」
kyoが腕を組む。
kyo「まあ、これくらい俺らには余裕やろ」
sn「kyoさん、さっき入口で『暗っ』って言ってましたよね」
snが言う。
kyo「言うたけど!それと怖いんは別や!」
sn「同じじゃないですか?」
kyo「ちゃうわ!」
その横でmdが棚を調べていた。
md「ココナニカ…アル」
ru「何か見つけた?」
ruが近づく。
mdが棚の奥から、一冊の古い本を取り出した。
表紙には─
『記憶魔法と封印術』
と書かれている。
pe「それ、昨日言ってた魔導書と関係あるんじゃないですか?」
peが覗き込む。
mdは本を開いた。
md「…」
ページをめくっていたmdの手が止まる。
md「…アッタ」
rd「何が?」
rdが近づく。
mdはあるページを開いて見せた。
そこには、黒い塔と五つの結晶。
そして─
二人の少年。
kr「…!」
krが息を呑んだ。
kr「これ…」
そこに描かれていた二人の少年のうち、一人は明らかに幼い頃のkrだった。
kr「…俺?」
sn「krさん、これ…」
snも驚く。
そして、もう一人の少年。
顔は黒く塗りつぶされていて、名前だけが書かれている。
『???』
tr「名前が消されてる…」
trが呟く。
krは絵から目を離せなかった。
kr「俺は…こいつと会ったことがある」
pe「思い出せそうですか?」
peが聞く。
kr「…少しだけ」
krは目を閉じる。
すると─
頭の中に、再び映像が浮かんだ。
幼い自分。
黒い塔。
隣にいる少年。
??『kr、これ見て』
kr『なに?』
??『この結晶、すごいんだよ』
少年の手には─
青白い結晶があった。
封印の欠片。
kr『これ、どうしたの?』
??『拾った』
kr『危ないんじゃない?』
??『大丈夫だよ』
少年は笑った。
そして─
??『僕が守るから』
映像が途切れる。
kr「…!」
krが目を開ける。
pe「krさん!」
peが駆け寄る。
pe「大丈夫ですか!?」
kr「…ああ」
krは額を押さえる。
kr「思い出した」
rd「何を?」
rdが聞く。
krはゆっくり口を開いた。
kr「俺は昔…あいつと一緒に、封印の欠片を見つけた」
「…!」
全員が黙る。
kr「でも、その後の記憶がない」
sn「どうして?」
snが尋ねる。
kr「分からない」
krは首を振る。
kr「気づいたら、俺は一人で村に戻っていた」
cn「じゃあ…その少年は?」
cnが聞く。
kr「…分からない」
その瞬間。
─ガタン。
棚の奥から物音がした。
rd「…誰かいるな」
rdが剣を抜く。
全員が身構える。
pe「ちょ、先輩!いきなり抜くんですか!?」
rd「静かに」
pe「…はい」
rdがゆっくりと棚の裏へ回る。
しかし─
誰もいない。
sn「…?」
sn「rdさん、何かありました?」
snが尋ねる。
「いや─」
rdが床を見る。
そこには黒い羽が一枚。
kyo「またこれか」
kyoが眉をひそめる。
kyo「昨日の奴…ここにも来てたんか?」
cnが羽を拾い上げる。
cn「いや」
cnの表情が変わる。
cn「…来てたんじゃない」
pe「どういうこと?」
peが聞く。
cnは羽を裏返した。
羽の根元に、小さな刻印がある。
『K』
tr「…krさんの名前の頭文字?」
trが言う。
krが羽を見る。
kr「違う」
tr「え?」
kr「これは…俺の名前を表してるんじゃない」
krが呟く。
kr「鍵だ」
tr「鍵?」
kr「昔、あいつが言ってた」
krは記憶を辿る。
kr『この羽は鍵なんだ』
kr『何の鍵?』
??『封印を開けるための鍵』
「…」
空気が重くなる。
rd「つまり」
rdが言う。
rd「お前の過去は、封印と直接つながってる」
kr「ああ」
krが頷く。
そのとき─
資料室の奥から、低い声が響いた。
??「…正解」
「!」
全員が振り返る。
暗闇の中。
黒ローブの人物が立っていた。
rd「お前…!」
rdが剣を構える。
黒ローブの人物はゆっくり歩いてくる。
黒ローブの人物「思い出したようだな、kr」
kr「…お前は誰だ」
黒ローブの人物「名前を知る必要はない」
黒ローブの人物が手を上げる。
すると、部屋中の本が一斉に宙へ浮かび上がった。
黒ローブの人物「だが─」
黒い魔力が渦巻く。
黒ローブの人物「お前が何者なのかは、そろそろ知るべきだ」
kr「…俺が何者って?」
krが睨む。
黒ローブの人物は笑った。
黒ローブの人物「お前は─」
その瞬間。
rdが飛び出した。
rd「言わせるか!」
─ガキィン!
黒い剣とrdの剣がぶつかる。
kr「rd!」
krもすぐに続く。
kr「《水影一閃》!」
水の刃が走る。
黒衣の人物は後ろへ飛び退いた。
黒衣の人物「やはり…この二人は厄介だな」
rd「全員、行くぞ!」
rdの声と同時に――
pe「《ライト・プリズン》!」
peの光の鎖が飛ぶ。
kr「《ウォーター・シールド》!」
krが防御。
sn「《エスパー・バインド》!」
snの魔力が敵の動きを縛る。
tr「燃えてきたなぁ!」
trが拳を構える。
kyo「《雷撃》!」
kyoが斧を振り上げる。
md「…ドケ」
mdの大地魔法が床を走る。
ruが槍を構える。
ru「逃がすかよッ」
cnは静かに敵の背後へ回る。
9人の攻撃が、一斉に迫る。
しかし─
黒ローブの人物は、笑った。
黒ローブの人物「…まだ早い」
─ズンッ!!
巨大な黒い魔法陣が床に広がる。
pe「うわっ!?」
peがバランスを崩す。
rd「全員、下がれ!」
rdが叫ぶ。
黒い霧が一気に部屋を覆う。
その中で、黒衣の人物の声だけが響いた。
黒ローブの人物「kr」
kr「…!」
黒ローブの人物「お前は忘れている」
kr「何を…!」
黒ローブの人物「─あの日、お前が封印を壊したことを」
kr「…ッ!」
krの顔が凍りつく。
kr「嘘だ…」
黒ローブの人物「本当かどうかは─」
黒い霧が晴れていく。
黒ローブの人物「自分の記憶に聞いてみろ」
黒ローブの人物は消えていた。
資料室に静寂が戻る。
「…」
誰も何も言えない。
krは拳を握りしめる。
kr「俺が…封印を?」
peがkrを見る。
pe「krさん…」
krは俯く。
kr「俺には…そんな記憶はない…」
するとrdが言った。
rd「なら、調べればいい」
kr「rd…」
rd「お前が本当にやったのかどうか」
rdはまっすぐkrを見る。
rd「俺たち全員で確かめる」
peも頷く。
pe「そうですよ」
snも笑う。
sn「一人で悩む必要なんてないですよ、krさん」
trが拳を握る。
tr「そうっすよ!」
kyoも笑った。
kr「疑うんは、全部調べてからでええやろ」
mdも頷く。
md「俺たちは、krさんを信じる」
ruが続ける。
ru「過去がどうであれ、今のお前を知っている」
cnが最後に言う。
cn「…それに」
cnは黒羽を見つめる。
cn「俺たちには、まだやることがある」
krはしばらく黙っていた。
そして─
小さく笑った。
kr「…ありがとう」
9人は資料室を後にする。
だが。
誰も気づいていなかった。
部屋の奥。
古い本棚の影に─
もう一冊。
同じ本が隠されていたことを。
その表紙には、こう書かれていた。
『封印の欠片─五つの鍵と、六人目の守護者』
そしてページの中央には─
krとよく似た少年の名前が記されていた。
『─???』
その名前だけが、黒く塗りつぶされていた。
─第十二章「九人の日常と新たな依頼」へ続く。
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