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「違う……これ、違うの……!」
スクリーンには、14歳の私。
今の洗練された姿とは似ても似つきない、残酷な笑みを浮かべた「本物の私」が映っていた。
あの子がフェンスの外側に立ち
震えている横で、私はピースサインをしながらスマホに語りかけていた。
『みんな見てー!今からこのブス、飛ぶんだって~やっと死んでくれるの!ちょーウケるよねw』
会場に、戦慄が走る。
今まで私を支持していたファンたちが、化け物を見るような目で私を見つめている。
「やめて……止めてよ!!」
私はスクリーンを隠そうとステージを走り回ったが、映像は止まらない。
次に流れたのは、撮影現場での私の隠し撮り映像だった。
スタッフを殴り、マネージャーに罵声を浴びせ
『あんなの、ちょっとした遊びだったのよ!』と、モニター室で叫んだ昨日の私の姿。
「あああああああああ!!!」
耳を塞いでも、会場に設置されたスピーカーが私の醜悪な声を増幅させて響かせる。
ふと、ステージ端のモニターに目が止まった。
そこには、同時配信されているライブ視聴者数が表示されていた。
【視聴者数:500万人突破】
コメント欄は、もはや読むことすらできない速度で流れている。
『人殺し』『サイコパス』
『地獄に落ちろ』『今住所特定したわ』
真っ赤な文字の羅列が、まるで返り血のように私の白いドレスを染めているように見えた。
「美玲さん。これが、あなたの半生を映画化した作品の『正解』です」
いつの間にか、監督がステージに上がってきていた。
彼は私の横を通り過ぎ、観客席を向いて深々と一礼した。
「皆さん。本日お見せしたのは、フィクションではありません。一人の少女の命を奪い、それを『遊び』と呼び、反省もなく成功を掴もうとした人間の、剥き出しの記録です」
「あんた……あんたのせいよ!! 全部あんたが仕組んだのね!!」
私は監督に掴みかかった。
なりふり構わず、彼のマスクを剥ぎ取り、帽子を叩き落とした。
世界中に晒されているとも知らずに、私は鬼のような形相で牙を剥いた。
「顔を見せなさいよ! 何様のつもり!? たかが監督の分際で───」
露わになった彼の素顔。
それを見た瞬間、私の指先から力が抜けた。
「……うそ。…嘘でしょ」
若々しい、けれどどこか面影のある顔。
あの子……「愛」が、たった一人だけ大切に持っていた写真。
いつも自慢げに眺めていた、あの子の────
「……あんた、愛の…」
「…兄貴だよ。今更気づいた?愛が死んだあの日から、僕は今日という日のためだけに生きてきたんだ」
彼の瞳には、怒りさえ通り越した、深い、深い虚無が宿っていた。
その瞬間、会場の全照明がパッと点灯した。
眩しすぎる光の中で、私は自分が世界で最も孤独な標的になったことを悟った。
#インフルエンサー