TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

シャーリィの言葉を合図とするように、リザードマン達も一斉にシャーリィ達に襲いかかり、船上はたちまち怒号が飛び交う戦場へと変わった。

リザードマンの一体が、シャーリィこそ中心人物だと判断して襲い掛かる。だがシャーリィは微動だにしなかった。それは、仲間を信じているから。

すかさず間に入ったベルモンドが左手だけで握った大剣を真下から振り上げ、三又槍を跳ね上げる。

真上に振り上げられた大剣に右手も加え、両手でしっかりと握り込みそのまま勢い良く振り降ろす。

リザードマンは弾かれた三又槍を慌てて持ち直し、大剣を柄で受け止めようとする。

だが、ベルモンドの大剣は鉄製の柄をあっさりと叩き折り、そのまま持ち主であるリザードマンを頭から股まで真っ二つに切り裂いた。

「お嬢、無事だな?」

「お見事です、ベル」

「お嬢は戦わないのか?」

「私が戦ってたら、ベルも集中できないでしょう?じっとしていますよ」

「そりゃありがたいね。出来るなら船室に入ってほしいが」

「嫌です。ここに居るのが最大限の妥協だと考えてください」

「……なるほどね」

シャーリィはベルモンドに守られながら皆を見守る。

「ガァアッ!」

「オラァアッ!」

リザードマンとルイスが同時に鋭い突きを繰り出し、互いの槍が交差する。

リザードマンの三又槍の矛先は、僅かに頭を傾けたルイスの緑の髪を掠め、ルイスの槍はリザードマンの口から侵入して喉を貫いた。

脱力したリザードマンの胴体に脚を掛けて蹴飛ばす勢いで槍を引き抜いたルイスは、シャーリィの無事を一瞬だけ確認すると次の獲物に向かう。

タタタタッ!と小柄なアスカが黒いワンピースを揺らしながら戦場を駆ける。

それに気付いたリザードマンの一体が三又槍を振り抜く。

それを察知したアスカは素早く右足を振ってサンダルを飛ばす。それはリザードマンの顔面に直撃して僅かに怯ませた。その隙に身を屈めて懐に潜り込み、ドルマン手製の短剣で足首を切りつける。

軽量ながら切れ味の良い短剣はリザードマンの左足首を切断。バランスを崩して体を傾けた。透かさずアスカが飛び掛かって押し倒し、その首を短剣で切り裂いた。

「……次」

左足のサンダルも脱いでアスカは次なる獲物を求めて駆ける。

「ギェアアッ!!」

「ふんっ!!」

リザードマンの鋭い突きに対してエレノアはまるでバレリーナのように右足を垂直に上げて、三又槍をおもいっきり踏みつけた。

床に突き刺さり踏まれたままの三又槍を抜こうとするリザードマンに対して、エレノアは右足を軸にしたまま回転。遠心力を利用して、まるで舞うように両手のカトラスで顔と胸を切り裂いた。

「まだまだぁ!野郎共!蜥蜴モドキなんかに負けるんじゃないよ!」

「「「おおおーーっっっ!」」」

エレノアの発破に船乗り達も雄叫びを上げる。

「ふっ!はっ!」

「ギキィッ!?」

レイミが下段から太刀を振り上げ、掬い上げるように槍を真上に撥ね飛ばした。

宙を舞う槍に周囲のものは呆気に取られ、その間にレイミはリザードマンの顔面に太刀を叩き込む。

頭を半ばまで割られたリザードマンは倒れ伏し、レイミは太刀を振るって血を払う。

シャーリィ達が優位に戦いを進めるが、海からはリザードマンが次々と上がってきて際限の無い戦いを強いられていた。

槍の突きを太刀で受け流し、そのままリザードマンの胴を薙いだレイミは、中心で見守る姉に駆け寄る。

「お姉さま!どうか船内へ!数が多すぎます!」

「分かっています、レイミ。皆さんの働きを見る限り敵の強さはそれほどでもありません。ですが問題は、その数ですね」

シャーリィは微動だにせず戦況を眺めている。

「その通りです。今は支えられていますが、このまま際限無く現れるようならこちらが崩れます」

「その場合、船内に居ても助かることはありませんね?」

姉はいつものように笑顔を浮かべて妹を見る。

「……はい」

「それならば、手を打たねばなりません。私達はこんな場所で終わるわけにはいきません」

「よっと!」

二人に迫ったリザードマンをベルモンドが真後ろから袈裟懸けに斬り倒す。

「その通りですが、なにか策があるのですか?」

「レイミ、質問があります。貴女は自在に氷を生み出せる。自ら生み出した氷を再び溶かすことは可能ですか?」

「はい、可能です……まさか、お姉さま」

シャーリィは晴れやかな笑みを浮かべていた。

「船の周囲を凍らせてください。厚さとしては二メートル程度で構いません。出来ますか?」

「出来ます。しかし、流石に私でも魔力が枯渇します。一日は動けなくなってしまうでしょう。その間お姉さまをお守りできません」

妹の言葉に姉は驚いて、そして優しい笑みを浮かべた。

「心配は無用ですよ、レイミ。なにより、私はレイミのお姉ちゃんです。妹に守られてばかりでは格好がつきませんよ?動けないなら、私がお世話をします。私が守ってあげます」

「お姉さま……分かりました。少しだけお時間を頂きます!」

レイミは近くにあったロープを握るとマストを素早く登り始めた。

「それでこそです。さあ皆さん、あと少し耐えるだけですよ!『暁』の力を示す時です!」

シャーリィは魔法剣を振るい、ルイスと対峙していたリザードマンの背中を切りつけた。その瞬間斬られた場所からリザードマンが綺麗な光の粒となって消えていく。

「おや、リザードマンも魔物なのですね」

「シャーリィ、悪い!」

「構いませんよ。それより、攻勢に出ますよ」

「了解だ!」

遂にシャーリィも参戦。彼女の魔法剣は光属性。魔物相手だと防具などを一切無視して攻撃し、触れた場所を浄化する。

「何だか卑怯だよな、それ」

「これは単なる力ですよ、ルイ。

闇属性相手には特効がありますが、善人相手には意味がありません」

「試したのかよ!?ふっ!」

「ギャッ!」

飛び掛かってきたリザードマンをルイスが槍で突き刺し、それをシャーリィが斬って浄化する。

「シスター達が捕まえた『ターラン商会』の支店長で試したんです。彼は根っからの善人でしたよ」

「恐ろしいこった」

一方マストを駆け上がったレイミは、周囲を見渡して魔力を練り上げる。ギフトによって得た莫大な魔力により、彼女の紅い髪は青く染まり金の瞳も青く染まる。

限界まで練り上げた魔力は周囲の温度を一気に下げていく。

「……永久の眠りを、時さえも凍り付け……」

呟いた瞬間周囲の海が次々と凍り付き、海面に居たリザードマンも一緒に凍り付かせていく。

そしてレイミの願いを聞き届けた精霊は、アークロイヤル号の進路以外を全て凍り付かせた。

代償として魔力が欠乏した彼女は意識を手放してマストから落下するも、待ち構えていたベルモンドがしっかりと受け止めた。

「良くやってくれました、レイミ。エレノアさん!」

「機関全速だぁあっ!振り切るよ!」

水中を気にせずとも良くなったアークロイヤル号は全速力でその場を離れる。周囲の海が凍り付き、それまでスクリューや舵に張り付いていたリザードマン達が凍り付き、そうでない個体も驚いて離れた事によって動けるようにはなったのである。

「進路上だけは凍らせないとは……器用なことを。お疲れさまでした、レイミ」

何とか危機を脱したシャーリィは、気を失った功労者であるレイミを優しく撫でるのだった。

loading

この作品はいかがでしたか?

6

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚