私の名前はアベル。
「神の右席」の一員にして、「左方のテスタメント」のリーダー。……いやぁ、自分で言ってても中二病全開すぎて恥ずかしくなってきたわー。
こんなこと口に出して言えるわけがないよ! 言ったら絶対笑われるもん!! 特にあの馬鹿とかあの変人神父には絶対に言えないね。
それにしてもさっきまで私がいた場所とはまるで別物みたいになったな。
一体どういう原理なのか分からないけど、とりあえず、今俺の目の前には真っ白な空間が広がっている。
いや、本当に何もないのだ。地面も空も無いし、空気すらもない。
なのに俺はちゃんと呼吸をしているし、五感もある。……うん、意味分かんねえ。
「おーい! 誰かいないのか!?」
試しに大声を出してみるものの返事はない。
「あ~あ……」
「どうしました?」
「いやぁさー、なんか最近つまんないなと思って」
「それは大変ですね」
「なんで他人事!?」
「だって他人事ですし」
「うわひっど! てかさっきまであんなに盛り上がってたじゃん!」
「盛り上がったと言ってもあれですよね?
『俺ら最強じゃね?』とか言ってましたよね? 完全に中二病発症してましたよ。恥ずかしくないんですか?」
「ぐあああぁ!!」
「うわあっ!?」
「きゃー!」
「…………」
「ひいぃ!もうおしまいだぁ!」
「おいお前ら、もっと気合い入れていけよぉ!」
「「「「「へいっ!!!」」」」」
俺は今、とある会社の面接に来ていた。
しかし、結果は散々なもの。
そりゃそうだ。
いくら志望動機が良くても、こんな俺なんかじゃ無理だって。そんなこと言わないでさ!ほら、履歴書見てみてよ!これ見ればわかるでしょ!? うん。君の熱意はよくわかったよ。でもね……。
あーもう!なんでわかんねぇんだよ!!頼むよ!お願いだから行ってくれよ!あんたがダメだったら他に誰もいねえんだ! 君は……君だけは諦めちゃいけない。必ず合格させてみせるから。……ごめんなさい。やっぱりあなたには付いていけません。どうかお元気で。
ありがとうございます。それでは失礼いたします。今まで大変お世話になりました。
ああそうだ。言い忘れていましたけど、今度結婚することになったんです。
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