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「ぷぁ……」


顔を拭いて基礎化粧品でフェイスケアをしたあと、私は解放感に浸ってリビングダイニングに向かう。


尊さんはすでにソファに座って、タブレット端末を弄っていた。


「わー、レモンスカッシュ!」


さすがミコクオリティで、カフェみたいにメイソンジャーグラスに、氷とスライスレモン、ミントが入っていて、カラフルなストローもついていて完璧だ。


「おうちカフェ、最高~」


一気にご機嫌になった私は、コースターの上に置かれたレモンスカッシュを写真に収める。


「カフェ・ミコリン」


名付けてからチュルーとレモンスカッシュを飲むと、尊さんがスマホで写真を撮ってきた。


「……そういう属性はないはずだったのに、お前と付き合うようになってから、美味そうに物を食う様子が愛しくなってきた」


「食欲系女子の扉が開きましたか……」


「別に、食いしん坊な女性が好きな訳じゃないって。朱里が美味そうに喰ってるのを見るのが好きってだけだ」


「そう言われたら、張り切って食べるしかないですね」


「しかし運動はしてるけど、恐るべきは消化能力だよな……」


尊さんが私のお腹を見て言う。


「自分でも不思議なんですけど、スーパーアカリン液はかなり強力みたいですね」


さっきまで中華料理を沢山食べてお腹いっぱいになり、ポンポンに膨らんでいたはずなのに、今はかなり平らになっている。


「健康ならいいんだけど、……人体の不思議だよな」


「大食いの人も、痩せてる人が多いですしね。テレビ番組で、一日三食大食いしても、翌日には体重が元に戻ってる、っていうの見ました。体質と努力と才能ですよねぇ……。あっ、私はただの素人食いしん坊なので……」


「素人なのか」


尊さんは私の言葉を聞き、クックック……と笑う。


「まぁ、健康的に問題ないなら、好きに食って飲んでくれよ。食うエネルギーがあるって、いい事だと思うし」


「はい」


彼の言葉を聞いた私は、以前に尊さんが『俺の母親は食の細い人だった』と言っていたのを思い出す。


(さゆりさんの分も、モリモリ食べますからね!)


私は心の中でグッと拳を握り、美味しいレモンスカッシュを飲んだ。






その日は夕方に町田さんが来てご飯を作ってくれ、私はお手伝いをしつつ、二泊三日のデートの感想を述べていた。


尊さんは風磨さんから仕事の連絡があったとかで、書斎でリモート会議をしている。


若い社長と副社長の新体制になり、周りのベテラン役員はどうなる事やらとヒヤヒヤしていたらしいけれど、思いの外二人ともしっかりしていて、今のところ大きなトラブルは起こっていない。


亘さんは子会社に移ったあと、一度だけ尊さんに手紙を送ってきた。


手紙には、若い頃の自分が優柔不断だったせいで、色んな人を苦しめてしまった事への後悔が綴られていた。


それとは別に、次の世代として風磨さんと尊さんが、手を取り合って会社を大きくしていく事を陰から応援しているという事と、もしも許してくれるなら、私と尊さんの結婚式に参加したいとの事が書かれてあった。


尊さんは私にも手紙を読ませてくれたけれど、すべての決定権は彼にある。


その当時、尊さんは手紙について何も言わなかったけれど、彼のしたいようにすればいいと思っていた。


尊さんと速水家のわだかまりもなくなった訳だし、仮に彼が亘さんに「速水家のみんなの前で謝罪したら、水に流す」という条件で結婚式への参加を許したとしたら、それで構わない。


ただ、百合さんたちが亘さんをどう思うかについては、何とも言えないけれど……。




そんな事を思いつつ、私たちは残る日曜日をゆっくり過ごし、月曜日を迎えて出社した。




**




午前中に尊さんと外出し、お昼に帰社して社食へ向かおうとした時、廊下で久しぶりに六条さんと会った。


「おっ、上村久しぶり」


「あーっと、六条さんお久しぶりです。飴ちゃんいる?」


「要らんわ」


彼はケラケラと笑ったあと、しみじみと私を見てくる。

部長と私の秘め事

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