そんな様子を見ていた俺は、楽屋の隅で肩を震わせながらニヤニヤしていた。
(めめ……努力は認めるけど、照はほんっとに鈍感だからな)
ついに我慢できず、目黒の肩をポンッと叩く。
「おいめめ、お前さぁ……」
「……なんですか」
「めちゃくちゃ頑張ってるのは分かるけど、照鈍感すぎて全然気づいてないよ?」
「言わないでください、マジで……」
「いや、だってさ! お前、今日何回『かっこいい』って言った?」
「……覚えてないくらい言ったよ。なのに、褒め返されて終わるから……」
「もうさ、それアピールっていうか、普通に仲良しの会話じゃん」
「……俺、どうしたらいいんだろ」
「うーん……もういっそ、もっとわかりやすく言えば?」
「……例えば?」
「照の彼氏になりたいとか?」
「いや、そんな直接的に言えるわけないから!」
「はははっ!!」
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岩本くんにアピールし続けていたものの、なかなか反応を得られないまま、時間だけが過ぎていった。
(なんかアピールの仕方が悪いのかな……?)
褒めても、誘っても、特に進展はなし。岩本くんは相変わらずのマイペースで、まるで俺の気持ちに気づいていないようだった。
そんな状況のまま、しばらく岩本くんとの仕事がなくなり、会う機会が減ってしまった。
(会えないと、寂しいんだよな……)
少し落ち込みつつも、仕事は仕事。そんな中、今日はふっかさんと佐久間くんと3人での仕事だった。
◆楽屋
楽屋にはまだ佐久間くんが来ておらず、ふっかさんと2人きり。
「で? めめ、最近はどうなの?」
ふっかさんがニヤニヤしながら聞いてくる。
「どうもこうも……特に進展なし」
「えぇ? あんだけ頑張ってたのに?」
「うん。俺、結構アピールしてるんだけどな。2人きりでご飯とかも行ったし、遊びにも誘ったし…まあ、しばらく仕事で会えてないんで、余計に何も進まないんですけど」
ため息をつくと、ふっかさんは少し考えるように腕を組んだ。
「……で、めめはどうしたいわけ? もう諦めんの?」
「いや、それは……」
「お?」
「……諦めたくない」
真剣な表情でそう答えた。
「そっか……。まあ、目黒がそう言うなら、応援はするけどさ」
「ありがとう」
「でもさ、さすがにちょっと手応えないのキツくね?」
「だよね、 ほんとに、もう少しなんかこう……気づいてくれたらいいのに」
「はははっ、マジで鈍感すぎるよな、照」
そんな風に話していると——
「……ん?」
ふと、ふっかさんの視線がドアの方へ向く。
「……え?」
その瞬間、背筋が凍った。
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聞いてた???