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第29話 「隠した気持ち」

夏実からもらったチョコレートと、同じパッケージの箱を持っていた篤彦。

「――さっき井野(いの)ちゃんにもらったんだー」

井野とは、京輔と篤彦がこの店で働き始めた頃からいる、バイトの女性である。

(そういえば桜木、コンビニのだって言ってたもんな……同じの誰かがあげてても、不思議じゃないか)

「まぁ義理だけどね。コンビニのチョコだって言ってたし、店長にもあげてたからねー。京輔はもらってないの?」

「っ……」

義理、という言葉に一瞬京輔の胸が痛んだ。

(や! 今まで義理ですらもらったことないこと考えれば! てか義理なのはあくまで篤彦が今もらったやつのことだから!)

そう自身に言い聞かせ、京輔は精神衛生を保つのだった。

そして一呼吸し、今の話題を改めて思い出す。

「断った。そしたらバラで配ってるほうを一つだけくれたけど」

「あーっそ。彼女持ちはい**************

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両片思いをこじらせている二人の話。

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