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めっちゃ好き……!! 妖狐っていう設定がもう🫶🏻️💞 続き楽しみにしてるね!
俺は薄暗い森を走っていた
間に合えっ……
開けた場所に出ると、美しい妖狐がいた
それはもう、美しかった
一瞬にして目を奪われた
「レオン!!!」
名前を呼ばれて我に返る
「こいつの目を見…!!!」
言葉を言い切る前に、巻きついていた妖狐の尾がさらにきつく巻き付き、言葉が発せられなくなった
かろうじて生きているようだが、あと少しでも力が強くなれば息は途切れるだろう
「ルカ!!!」
駆け寄ろうとするが、妖狐の尾が邪魔をする
「全く……」
「うるさいガキどもじゃのう」
その言葉と同時に、邪魔をしていた尾がこっちに向かってきた
巻きつこうとしているようだ
それを剣で切る
「ほう……」
「なかなか力があるようじゃのう」
「今までの奴らとは大違いじゃ」
ゆったりと話す妖狐はゆっくりと閉じられていた瞼を開く
さっきルカに言われた言葉を思い出し、目を瞑る
「ほほっ」
「勘が鋭いのう」
「こやつが余計なことを言いよったからかのう」
「ぐっ……ぁ」
ルカ…!!
楽しげに笑う声が聞こえる
下を向き、目を開ける
すると、前にいたはずの妖狐が、目を開けて俺の視界に飛び込んできた
妖狐の目は赤色をしていた
俺は思わず後ろに飛ぶ
「そんなことしても無駄じゃよ」
妖狐の尾が近づくが、剣を握った腕が動かない
そのまま、巻きつかれる
「そなたは美しいのぉ」
「殺すのがもったいないのぉ」
尾で巻き付かれた時、鼻と口も塞がれ、目だけ出た状態で巻き付かれたので息ができない
「ほほっ、苦しいのう苦しいのう」
「もっと見せておくれ。そなたの苦しむ顔を」
剣を振りたいのに、振れない
妖狐の顔はすぐそこなのに……
意識が朦朧としてくる
すると、地面から15mほどの高さまで上げられる
「さらばじゃ」
尾が離れ、俺は地面に叩きつけられた
が、痛みも何も感じない
ふわふわと体が浮いているように感じた
「_の、」
声が聞こえる
「あの、」
誰だ?知らない声
「大丈夫ですか?おーい」
目を開けると、そこは先程までいた森の地面ではなく、灰色の固いものの上だった
「あ、良かった。目覚ました」
倒れていたらしい
横にいるのは、
「ルカ……?」
「いえ、俺は蓮です。目黒蓮」
聞いたこともない名前に思わず身構えるが、
手に握っていた剣はなく、服も変わっていた
見た事のない服だ
周りを見渡しても高いものばかりで、全く知らない景色だ
ここは、どこだ……?
妖狐は?ルカは?
「あの、大丈夫ですか?」
「あなたの名前は?」
「俺の名前は……」
あれ?
俺、なんて言う名前だっけ?
「分から……ない」
「分からない?じゃあ……なんでここにいるの?」
なんで……?
妖狐の力?
でも、俺は色んなところを回ってきたけど、こんなところ、見たことない
「お父さんやお母さんは?」
「母親は俺を産んだ時に死んで、父親は仕事に出たきり帰ってこなかった」
俺らがやっているのは妖狐のような化け物を倒す仕事だ
きっと父親も化け物に喰われたんだろう
よくある話だ
「そっか……じゃあ、俺の家に来る?」
「は?」
「だって、名前も、どこから来たのかも分からないんでしょ?」
「そうだけど……」
「じゃ、決まり!」
「着いてきて!」
「え、ちょ、」
俺の腕を引っ張る彼は、とても優しそうな顔をしていた
『はいおっけー!!』
俺の心臓はさっきからドクドクと脈打っている
怖かったぁ……
もう泣きそう
「阿部ちゃん?笑」
笑うなイケメン
こっちは慣れてないんですぅ!!
「すぐ慣れるよ」
黙れイケメン
お前なんかに俺の気持ちが分かるわけないじゃろがい
「どうどう阿部ちゃん」
馬扱いすんなイケメン
お前に馬が扱えんのか
「やろうと思えばできるんじゃない?」
くたばれイケメン
てかさっきからずっと心の中覗いてくるんですけど
「阿部ちゃんが好きすぎて♡」
キモイぞイケメン
普通に引くんですけど