テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
今年、最初の雪が降った。
それを見た瞬間、思い出したのは君だった。
僕たちは、確かに付き合っていた。
一年に数回しか会えなくても
それでも大丈夫だって、二人で決めたはずだった。
でも、少しずつズレていった。
連絡の間隔、会えない理由、
「大丈夫だよ」の言い方。
君は変わっていないのに、
変わったのは僕のほうだった。
別れを切り出した日、
君は泣かなかった。
ただ、小さくうなずいて、
「分かった」と言った。
それが、余計に苦しかった。
初雪の日、
偶然、君を見かけた。
前より少し大人になっていて、
それでも、すぐに分かった。
声をかけようとして、
足が止まった。
——君に会えたら涙が出てきそうで
馬鹿みたいに何も言えないんだ。
教えてよメリークリスマス。
そんな歌詞みたいな言葉を心の中では叫んでいるのに、
僕は何も言えなかった。
君は気づかずに、
白い息を吐きながら歩いていく。
あの時、
ちゃんと向き合っていたら、
違う未来があったのかもしれない。
雪は静かに降り続ける。
消えない後悔みたいに。
付き合っていたことも、
好きだったことも、
全部、本当だった。
でも今はもう、
同じ場所には戻れない。
初雪が降るたび、
僕はこの恋の終わりを思い出す。
それが、
僕の First Snow。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!