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きっかけは、本当に些細なことだった。
「康二、今日の放課後さ——」
目黒が話しかけた瞬間、康二のスマホが鳴った。
「あ、ごめん」
画面を見ると、クラスメイトからの連絡。
「今日、準備手伝ってほしいって言われてて」
「……そう、なの?」
目黒の声が、少しだけ低くなる。
「先に言ってほしかった」
「え?」
康二は、戸惑った。
「そんな大したことちゃうやろ?」
その一言で、空気が変わった。
目黒は、黙り込む。
(あ……)
康二は、しまったと思ったけど、
もう遅かった。
⸻
帰り道。
二人の間には、重たい沈黙があった。
「蓮」
「……何」
「怒ってる?」
「怒ってない」
でも、その言い方が答えだった。
康二は、少し苛立ってしまう。
「俺、蓮の予定全部把握してなあかんわけ?」
目黒が、ぴたりと足を止めた。
「そういう意味じゃない」
「じゃあ、どういう意味なん?」
目黒は、拳をぎゅっと握ってから言った。
「……俺は」
声が、少し震えている。
「康二との時間を、大事にしてる」
「だからこそ、急に後回しにされたみたいで……」
その言葉に、康二の胸が締めつけられる。
「……ごめん」
でも、すぐには素直になれなかった。
「でもさ、俺だって……」
「分かってる」
目黒は、遮るように言った。
「分かってるから、余計に……」
言葉が続かない。
二人とも、黙ってしまった。
⸻
その夜。
康二は、ベッドの上で天井を見つめていた。
(なんで、あんな言い方してもうたんやろ……)
目黒の、少し寂しそうな顔が浮かぶ。
(蓮は、ちゃんと俺を想ってくれてたのに)
スマホを見る。
連絡は、来ていない。
(俺から、言わなあかんよな)
そう思っても、指が動かない。
⸻
翌日、昼休み。
いつもの席。
でも、二人の間には距離があった。
弁当を広げながら、康二は意を決して言った。
「……昨日、ごめん」
目黒は、驚いたように顔を上げる。
「俺、言い方きつかった」
「康二……」
「蓮が大事にしてくれてる時間、
ちゃんと分かってなかった」
目黒は、しばらく黙ってから、静かに言った。
「俺も、ごめん」
「独占したい気持ち、押しつけた」
二人の視線が、重なる。
「喧嘩、初めてやな」
康二が苦笑すると、目黒も小さく笑った。
「……でも」
目黒は、真剣な目で言った。
「康二となら、ちゃんと話せるって分かった」
康二は、胸の奥が熱くなるのを感じた。
「俺も」
短い沈黙のあと、目黒がそっと言う。
「……手、繋いでもいい?」
「うん」
机の下で、指が絡む。
完璧じゃない。
すれ違うこともある。
でも——
話して、謝って、また並べる。
それが、二人の答えだった。
久しぶりの投稿です‼️
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