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ROY

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みむら
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小話⑥ 渡辺部長と目黒くん
※💙❤️描写が出て来ます。
side 💙
溜まり溜まった仕事を片付けて、家に帰ったら涼子が作ってくれた夕飯を食べてソファで微睡む、いつもの金曜の夜。
ふいに軽快な音を鳴らす自分のスマホ。
見ると1件の通知が入っていた。
通知画面に”目黒”の名前。
目黒【おつかれさまです。業務後にすみません。明日少し時間もらえませんか】
目黒から連絡なんて珍しい。
中途入社してまもなくカナダ支社への赴任を言い渡された珍しい社員。
うちの岩本社長は、たまにそう言った采配をする。起爆剤として期待をしているが故の人事だと聞いた。
現に、目黒はカナダ支社で堅実に着実に数字を創り上げて期待に応えた。もう少しだけカナダで活躍した後に重要なポストに就かせるとも聞いたことがある。
そんな出世コースのあいつが、噂によると日本への異動を希望しているらしい。
詳細は知らない。あいつなりのキャリア形成があるのだろう。
1度きりの人生。仕事に邁進するのも良し。プライベートも大切にするのも良し。
こればかりは誰も邪魔を出来ない。
カナダでの実績は誰もが知っているものの、日本では市場状況が異なるから、今までの勝ち筋で上手くいかないこともある。
だから、岩本社長が日本とカナダでの合同プロジェクトに目黒を選抜して、こっちでもプロジェクトに軌道に乗せられたら日本に戻す予定、と深澤から聞いた。
いわゆる、お手並み拝見ってやつだ。
【お疲れ。仕事の相談なら電話しようか?】
目黒【いえ、別件です。】
別件。何かあったか?
明日は確か、涼子は佐久間と出掛けると言ってたな。昼だったか。
【昼でも良いか?】
目黒【はい。ありがとうございます。休みの日にすみません】
場所は何処でも良いというから、時間と自宅隣駅を指定し、明日の目黒の相談内容によって店をどうするかを決めることにした。
-–
「おー、目黒」
「部長、すみません。休みの日に」
会社でのビシッとしたスーツとは違ってTシャツにジーンズというラフな格好。
身長がある分、随分と様になっている。
「いーよ、全然」
「奥さんに何も言われませんでした?」
あれ?俺こいつに結婚してること言ったっけ?
下手なこと言って詮索されるのも嫌だし、流しておくか。
「気にすんな。・・・で、どうしたんだ」
仕事の話じゃないんだろ?と連絡をして来た理由を問う。
途端に目がキョロキョロと左右に動く。
すげー動揺してんじゃん。
「あの・・・プライベートの話、で」
渡辺部長にしか話せなくて・・・と苦笑いをその整った顔に浮かべた。
・・・長くなりそうだな。
一先ず、昼からやっている居酒屋に入る。程よく煩いから目黒も気にせず話せるだろう、という俺の配慮だ。
別に昼間から酒を飲もうって訳ではない。断じて。
「それで?」
「・・・俺、好きな人がいるんです。」
「おう」
佐久間だろ。知ってる。分かりやすいもん、お前ら。
どうやってあの鈍感にアプローチするかって話かな。可愛いやつめ。
「もっと距離を近付けてから告白をしようと思ってたんです。でも、色々あって嫉妬した結果、勢いで告白しちゃって・・・」
「あ?」
え、告白したの?展開早いな。
「その、嫉妬ってのは・・・」
「俺の好きな人に昔から大切に想ってる人が居て・・・その人じゃなくて、もっと俺を見てほしい、特別になりたいって子供みたいな嫉妬をしました・・・」
「おぉ、そうか・・・」
随分と重い感情をお持ちで・・・
「・・・まぁ、嫉妬はしゃあねぇな・・・返事はもらったのか」
「まだです。相談がそこなんですけど・・・」
目黒からの相談は、まぁ確かに経験者の俺くらいしかアドバイスは出来なかったな!
そりゃあ向井とか若僧には無理だわ。うん。
目黒が結果としてどんな行動を取るかはあいつ次第。
それに対して佐久間がどんな反応をするのかも俺には分からない。
まぁ、あいつらが幸せになってくれればそれで良い。
「翔太」
「ぅおっ・・・あ、涼子か」
涼子も佐久間と解散したのか。思ったより早かったな。
俺も、無自覚に鈍感な涼子にどうしたら気持ちが伝わるかヤキモキしたな。
なんとなく、昔の俺と目黒が重なって見えて、隣にいる涼子に触れたくなってしまった。
普段、手なんか繋ぐ俺じゃないから、ちょっとは照れるかな〜なんて思ったけど、涼子の頭にはハテナが浮かんでいる。
ちったぁ照れろよ。
「なんか目黒見てて、昔の俺を見てるみたいでむず痒くなったわ」
「そうだったっけ?」
抱擁感があって、いざという時に頼りになるけど、無自覚に鈍感で。
俺が生涯一緒に居たいと思った相手。
「男は格好つけたい生き物なんだよ、好きなやつの前ではな」
俺にとっての涼子みたいに
いつか、目黒にとって佐久間がそういった相手になるよう、心の中でエールを送った。
涼子ママとさく美ちゃんの話をやったので、翔太パパと目黒くんのくだりをやらんと駄目だろうという使命感で書きました。