テラーノベル
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#ご本人様に関係ありません
#架空のお話
ある曇りの日。
僕たちの生活は穏やかに見えた。
僕は曲作りを再開し、若井はそれを嬉しそうに見守ってくれた。
でも、曲が完成しない。
書けば書くほど自分のことが嫌になって、吐きそうになる。
もう自分の曲でワクワクすることは無くなっていた。
もうダメだ。
若井が
「無理してかかなくていいからさ、ね?」
というたびに心がダメになっていく。
音楽のできない僕は価値がないも同然だ。
どうにかして価値のある人間でいたい。
そのためには曲を作らなくてはならない。
タイアップのオファーはこれでもかと来ている。
それでも若井はこう言うんだ。
「元貴、散歩?ダメだよ、インスピレーション?ダメだって、お家でも浮かぶでしょ?外に出たらまた傷ついちゃうよ。ね、おれがいるからさ、大丈夫だよ。」
ああ、ダメだ。
甘い言葉の数々に脳を焼かれる。
こうやってまた、自分を部屋に閉じ込めるんだ。
「ね、大丈夫、大丈夫。おれがいるからね。」
いつ も通り、抱きしめられる。
前はもっと逞しかった胸筋は、ずっと室内にいるせいで、10代の頃のようにガリガリになっていた。
僕もお前もガリガリ。
鍛えていた頃が懐かしい。
なんか高校生に戻ったみたいだなぁ。
なんて感傷に浸っているうちに、衣服は剥ぎ取られ、生まれたままの姿になっていた。
まただ。
また、抱かれるんだ。
食べる
曲を書く
セックス
寝る
このままでいいのだろうか。
若井に組み敷かれながら、ほぼ壊れている頭で考える。
外に一歩も出ずに、若井以外との誰とも連絡を取らず、会話をせず。
生存確認が目的の性行為をして、
若井の優しさと異常さにただ縋って。
ほんとは知ってる。
僕の前では明るく振る舞ってるけど、1人の時はすごく辛そうな顔をしてること。
強くもない酒に頼って、眠れないから睡眠薬を飲んで。
ただ、指摘したら全てが崩れる気がして何も言えないだけ。
お前が、壊れる気がしてるだけ。
でも、このままではいけない。
2人で沈むところまでいってしまえば、もう戻ることはできない。
ただ、死ぬのを待つだけの人生になってしまう。
それだけは避けたいんだ。
若井には笑っててほしい。
あわよくば涼ちゃんも、僕の周りの人たちも。
そのためには、僕が殻を破らなくては。
タイアップのオファーを一年ぶりに引き受けることにした。
「ね、若井。」
いつもの調子で呼びかける。
「んー?どしたの、元貴。おしゃれしてるんだね。」
よかった、今は疲れている顔をしていない。
「タイアップ、決まったの。化粧品のさ。だから、打ち合わせ、行ってくるね。」
心臓がすごい速さで脈打つ。
ここにかかってる。
ここで僕が。
僕が外に、、
ああ、ダメだ。
しっぱい、したかも。
僕の言葉を聞いた次の瞬間、若井は顔を真っ赤にして、目は充血していた。
笑ってるのか怒ってるのかわからない顔をしていた。
極め付けに、怒鳴り始めたんだ。
「なんで!外は危ないってあんなに言ったのに!!俺を置いていくの?また1人にするの?!」
え、わかい?
おこってるの?
いつもの優しい若井はどこ?
こんなの初めてだ。
若井が怒鳴るところなんて初めて見た。
びっくりしてしまって、パニックになった僕は言い返してしまった。
「危なくない!!僕は、僕であるためにタイアップを受けたの!なんでそんなに否定してくるの?!最近の若井、ちょっとおかしいよ!!」
言い終わると同時に壁に背中を叩きつけられる。
「いたいっ、たった1時間くらいじゃんか!ただの打ち合わせだって!」
「だって!外に出たら俺のことなんて忘れちゃうだろ!元貴は!俺を捨てて、曲作りに夢中になって、俺がいなくても平気になるんだろ!!」
「そんなことな」
「うるさい!あるんだよ!!」
若井は続けた。
「おれが、ここにいる意味無くなっちゃうじゃんか。元貴がまた外に行ったら、おれはまた、必要なくなる、、ねぇ。おれ言ったよね。元貴がいないと生きてけないって。言ったよな!?」
声が震え、涙が溢れている。
でも、悲しみではなく、怒りの涙だ。
抵抗しなきゃいけない。
でも、若井の体が密着して、逃げ場がない。
「、、、離して。いたい」
「いたい?おれの方がずっと痛いよ!」
若井の右手が、僕の首に伸びる。
最初はただ、触れるだけだった。
指先が、喉仏を撫でるように。
「おれは、もときしかいらない。そう言ったよね?覚えてる?」
声が甘くなった。
さっきまで寝室で僕に囁いていたように。
僕は目を見開いた。
「わ、かい、、、?」
指に力がこもる。
ゆっくりと、確実に。
「ずっと俺のそばにいればいいんだよ、もとき。
もう曲も書かなくていいし、誰とも会わなくていいんだよ。」
呼吸が苦しくなる。
息が、細くなる。
「や、め、、、、」
声が出ない。
指がさらに深く食い込む。親指が喉仏の真下を押さえ、残りの4本が後ろから首を固定する。
こちらをじっと見つめてくる。
泣きながらも、微笑んでいた。
足をばたつかせてもびくともしない。
しんどくて、辛くて、若井の腕を掻きむしるけれど、力が入らない。
視界が霞んでゆく。
「俺だけのものになって。あいしてる、元貴。」
元貴の目から光が完全に消えるまで、首を絞め続けた。
体から力が抜けて、首が座らなくなった。
それでも離さなかった。離したくなかった。
もっと強く、もっと深く。
元貴の魂が完全に俺の中に吸い込まれるまで離したくない。
「、、、、あぁ。」
ようやく手を離すと、体が壁に沿ってズルズルと崩れ落ちる。
首に、鮮やかな指の痕がくっきりと残っている。
膝をついて、元貴を抱き上げる。
まだ温かい頬に、俺の頬を寄せてつぶやく。
「やっと、二人だけになれた。」
ずっと夢見ていた未来が訪れたんだ。
部屋は静かだった。
窓を打つ雨の音だけが、遠く聞こえる。
元貴の体をベッドまで運んで、丁寧に横たえる。
そして俺もその隣に横になる。
「まだ、おれ、元貴に必要とされてるよね?」
心からの笑みが溢れた。
大好きだよ。あいしてる、元貴。
どうだったでしょう?
バイバイ👋
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