「な、何言い出すんだよお前は…
今助けてって…俺の名前呼んだじゃないか、」
「…椿には……関係の無い話です。」
「はぁ、、? 」
腹が煮えくり返るような怒りが湧き、思いのまま、思ってもいない言葉が、出てきてしまった。
「そうかゞ。つまりお前は、俺との約束よりも、こいつらと無理やりプレイしていた方が、
よっぽど楽しいんだな??
お前にそんな趣味があったとは思わなかったな。
失望した。」
嘘だ。こんなこと言いたいわけじゃない。
もう、何も言うな。止まれゞと思っていても、
理性よりも怒りが勝ってしまった。
それは、嫉妬か、憎しみか、それとも…。
「お前と兄弟として
生まれたことが恥ずかしい。
せいぜい楽しめよ。ごみ淫乱。」
こんなこと言い無いわけじゃ、なかったのにな、
気がつけば、その場を凍らしていた。
だが、可哀想な菊を、見つめ男たちは更に興奮しギンギンにさせていた。
「…でしたら、椿も入りますか??」
その言葉を聞いて、何もかも吹っ切れた。
俺は菊にひと殴りをして、
「二度と顔を見せるな」と脅した。
違う。俺はわかってる。これは俺に危害を加えないために、嫌われに来たんだ。
分かっているのになぁ、
俺は早歩きで勢いよくドアを閉め、廊下へ出ると何かよく分からない涙が溢れ出た。
教室の外の壁に寄りかかり、彼奴の声を聞くのみだった。
菊の苦しむ声、男たちの喜ぶ声、そして、
汚らしい音。
それが終わることはその1時間後くらいだった。
いずれ菊は、声を発さなくなっていった。
聞こえるのは、男たちの声と汚らわしい音のみ。
今でも思い出す、俺があの言葉を発した時のあいつの顔。絶望したのだろう。
涙を流して、何もかも崩れ落ちたかのような顔。
彼奴には、俺しかいないんだ。俺しか。
彼奴は友人を持つことがあったが、特別依存などしなかった。
俺さえいればいいと思っていたのだろう、
それでも、あの状況で俺に危害が及ぶと思い、嫌われてしまうのではないかと考えた奴は、
恐らく、突き放されるよりも突き放す方を選んだのだろう。結局、俺が突き放してしまったがな。
先程の自分の発言に後悔していると
男どもが「もうそろやめるか」と言い出したので
俺はこの場から隠れようと立ち上がると、
大きな衝撃音と、椅子や机がズレる音が響いた。
その音に驚き、しゃがみこむ。
『なぁ、菊ちゃ〜んッ、お前、
椿にも突き放されちゃって可哀想だナ〜、
ルートとフェリシアーノの次はお前の双子の兄弟ッて、可哀想すぎんだろwww』
『次どこにすんの〜??誰に縋るの〜???
母ちゃんも居ねぇ、父ちゃんも居ねぇ、
祖父母が遠い街。なぁ??どこ??なぁ!?
誰誰!?!?w』
「ッ、」
『可哀想なもんだよな、
ていうか、あんな呆気なく捨てられるんだな。
兄弟って、双子ってもっと互いを分かってるもんだと思ってたけどな。残念だわ〜w』
『日頃からあの上から目線の口調がイラつくんだよな〜、椿。日頃イラつく。しかも喧嘩も強いし、勝てる相手じゃねぇしな、 』
『菊ちゃんってば可哀想ぉ〜!
あんなやつと同じ顔ってだけで全然別人なのにな〜??w 』
「ッ!!!椿を馬鹿にするなッ!!!!」
『おっとっと、おい、押さえつけとけよ。
まだ俺の蹴りを喰らわせてねぇだろ?
見とけよ?どんだけ飛んでくかなww』
またもや衝撃音が響いた。
「ッ、こんなことして何が楽しいのですか、
なにか不満があるなら本人に言えばいいじゃないですか、」
『……菊ちゃんッてさ、しつこいよな、
生意気だよね〜、やっぱ、躾がないと
ダメなのかな〜!!?
親がいないからな!!俺が代わりに躾てやんよ!!!』
『いや、さすがにそれはやり過ぎじゃね?』
『あ!?何??文句あんの!?
お前にするか!?あぁ!?』
『…嫌。さすがにころすのは、』
『大丈夫だって。そんな簡単に殺したら、
つまらないだろ???見とけって。』
先程とは比べ物にならない音が教室内にひびき、
鉄と鉄がぶつかり合う音がした。
『…ぉ、おい、動かねぇぞ、?』
『死んだフリだろ??おい起きろよ!!』
「ぅ゙ッッ、」
階段の下から教師と思われる声がして、
「やべ」と言いながら奴らは俺に気づきもせず出ていった。
菊ッ 、
俺は急いで菊の元へ駆け走った。
「菊ッ!!!!」
「っ、つばk ッ、痛ッ、な、なんでッ、」
「馬鹿野郎、でも、ごめんッ、ごめんなッ、
違うんだ、本当はあんな事思ってない!!
むかついたんだ、関係ないって言われるのが辛かった、兄弟なのに、双子なのにッて、
悪かった、ごめん、ごめんッ、」
気がつけば、我ながら情けないが涙を流し、
彼を抱きしめた。
「椿ッ…どうして、?
なぜ嫌ってくれなかったのです?
あのまま、私と離れたらあなたには何も危害などッ、」
「俺のせいじゃないか、俺が、」
「違います、違いますよ、椿、血が、服が汚れてしまいます、
それに、あの人たちのものも付着していますので、、」
「そんなの今どうだっていいだろう!?
…いつからこんなことされてるんだ、」
「…、高校1年生からです、」
「…何故言ってくれなかったのだ、」
「その時は、軽かったんです。
本当に小さな嫌がらせでした、
ですが、こんなに。こんなにも酷くなるなんて思っていなくて、」
いじめとはそういうものなんだ、初めは、ほんと小さな嫌がらせから。
そんな昔からなのに、あんなになぜ一緒にいたのに、何故気づけなかった…。
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