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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#フェチ
鷹槻れん

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#素人作品
YAMATO
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「……今日は良介の家に……」
ぽつりと呟くと、
「却下」
良介が即答した。
千紗は思わず笑う。
「だと思った」
「全部終わって、ご両親からの許可が下りたら、いくらでも連れ帰ってあげる。……だから今は頑張ろー。――ね?」
「うん」
「僕もついてるから」
真っ直ぐな声だった。
千紗は一瞬だけ目を見開き、それから小さく頷く。
「……分かった」
それだけで十分だった。
良介がいてくれる。
その事実が、千紗に少しだけ勇気をくれる。
「じゃあ」
「うん。行こうか」
良介が傘をわずかに千紗の方へ傾ける。
自然な仕草で肩を引き寄せられ、千紗は思わず肩を跳ねさせた。
「ちょっ……」
「濡れるよ?」
悪びれもなく言われてしまい、反論出来ない。
二人はそのまま相合傘で門をくぐった。
しとしとと降り続く雨音が、静かな夜に溶けていく。
玄関ポーチへ辿り着く頃には、千紗の緊張も少しだけ和らいでいた。
「僕はここで待ってるねー」
良介が屋根の下で傘を畳みながらにっこりと微笑んだ。
「寒いし……待たなくても……」
「却下ぁ~」
「さっきから却下ばっかり」
「チィが看過できないことばかり提案してくるからだよ」
千紗は、わざとらしく唇を突き出してぷぅっと頬を膨らませて見せる良介に、思わず笑ってしまう。
「変な顔」
「僕の顔、好きなくせにぃ~」
「……バカ」
さらりと図星を突かれて、千紗が照れ隠しでそうつぶやいたと同時。
「……じゃあ、行っておいで」
柔らかく背中を押された。
千紗はもう一度だけ良介の顔を見上げた。
良介は傘を片手に、いつもの〝のほほん〟とした表情で、ひらひらと手を振ってくれた。
その顔を見ていると、不思議と勇気が湧いた。
「……なるべく早く終わらせるから」
「うん。いい子にして待ってるワン」
その一言に背中を押されるようにして、千紗は玄関の扉へ手を伸ばした。
「ただいま」
***
屋敷へ入ると、まるで待ち構えたみたいに執事の男が、タオルを片手に待っていて、「お帰りなさいませ。お嬢様」と恭しく頭を下げた。
「雨が降っておりましたが、傘はお持ちじゃなかったですよね?」
タオルを差し出しながら、千紗がそれほど濡れていないことに小首を傾げる。
「……タクシーで帰って来たから」
長年藤井田家を支えてきた男からの指摘に、すぐそこにいる良介とのやり取りを見透かされていた気がして、千紗はバクバクする心臓を必死になだめた。
(大丈夫。彼は使用人だもの。これ以上は聞いてこないはず)
それよりも今は――。
(両親とちゃんと話さなきゃ)
逃げないと決めたのだから。
***
リビングの扉を開くと、ソファでくつろいでいた藤井田琴葉が顔を上げた。
「お帰りなさい」
「ただいま」
「雨、大丈夫だった?」
「うん」
何気ないやり取り。
いつもならそのまま他愛もない会話のラリーが続くはずだった。
けれど、今日は違う。
コメント
3件
良介のキャラ好き
ああ、このエピソード、すごくいいですね。良介の「却下」がもう千紗への信頼と愛情の証みたいで。相合傘で肩を引き寄せる自然な仕草とか、「僕もついてるから」の真っ直ぐな言葉とか、彼の存在が千紗の勇気に直結してる構造が美しいです。最後の「ただいま」でリビングに踏み入れる踏み切りの描き方も、逃げないと決めた千紗の成長をしっかり見せてくれました。雨の夜のしっとりした空気が二人の距離感にぴったりで、次の展開が楽しみです。