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※空白プロトタイプの続き
✵✵✵✵✵
「ん、弟!来てみろ!」
「ん〜?なぁに?」
ふと、双子の兄であるミスターレッドに呼ばれたミスターブルーは、首を傾げつつ、兄の元に駆け寄った。
「どうしたの?」
「なんか、絵本?見つけたんだが・・・」
と、レッドの手には古ぼけた本が。題名は擦れ、読めなくて表紙は茶色に変色していた。
「なんだこれ?」
ブルーは、その絵本をペラリとめくる。
「えーっと・・・なんて読むんだろ?この漢字・・・」
その絵本?らしき本は漢字が多く、まだ漢字が読めないブルー達は首を傾げた。すると、後ろからブラックが覗いた。
「それは、『昔昔』ですよ」
「「ブラック!」」
「なんですか?それ」
と、ブラックがその本を覗き込む。
「なんか、すまない先生の部屋の本棚の奥に隠してるようにあったんだ!」
「・・・怒られますよ。すまない先生に」
「へーきへーき!なぁなぁブラック!続き読んでくれ!」
「・・・仕方ありませんね・・・」
と、ブラックはその本を手に取り、めくる。レッドとブルーはブラックを挟むように座った。「・・・読みますよ?」
◆◆◆◆◆
昔昔、ある所に、1人の青年がいました。青年は、両親をヤマタノオロチという怪物によって亡くし、ひとりぼっちでした。
ですが、青年はそのヤマタノオロチを倒すべく、立ち上がりました。
ライバルであり、友人となった少年と、そのヤマタノオロチと深い関わりをもつ少女との出会い。
そして、とある7人の生徒との出会い。
青年は、幸せでした。
・・・ですが、その幸せはヤマタノオロチによって壊されかけました。
ヤマタノオロチに7人と青年は立ち向かい、青年はヤマタノオロチに剣を入れ、見事勝利しました。
こうして、青年は「英雄」と呼ばれるようになり、生徒達は、青年の元を卒業し、それぞれの道を歩みました。
◆◆◆◆◆
「おれ、こんな昔話聞いたことない」
「俺も、ブラックは?」
「私も・・・ヤマタノオロチって何千年も昔に“存在していたかもしれない”って生き物ですし・・・」
「こーら?」
「「「あっ」」」
ヒョイッと本が上に上がる。顔を上げると、すまない先生が困ったような笑顔を向けていた。
「全く、レッドくん?勝手に部屋入っちゃダメって言っただろ?」
「だって・・・」
「だってじゃない。危ないものもあるんだから・・・まったく」
そうすまない先生は笑う。だが、その笑顔は少し悲しげな、懐かしげな表情をしていたことに、ブラックは疑問を抱いた。
「ほら、今日のおやつはパンケーキだよ?早く食べないと赤ちゃんに食べられちゃうよ?」
「やっべ!!行くぞ!弟!」
「う、うん!!ブラックも!!」
「えっ、ちょっ、うわっ」
ブラックはブルーに連れられ、3人はキッチンへと駆け出した。
✵✵✵✵✵
「・・・もう、“存在していたかもしれない”って言われるほど、遠い昔なのか・・・」
すまない先生はその本を自室の机の引き出しにしまい、鍵をかけた。
すまない先生は、少し悲しげに笑い、顔を上げ、子供達の元へと歩いていった。