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11月22日(土)
決戦の舞台は岡崎に新設された天宮記念ホール。
俺と山中は、関西中から集まったエリート高校生たちの熱気に気圧されながら、会場へと入った。
ガラス張りの壁面。最新の音響設備。
そして数百人を収容する巨大なホール。
天宮財閥のその圧倒的なまでの力を見せつけられているようだった。
俺たちが指定された席に着くと、山中が興奮気味にパンフレットを広げた。
「すげえな音無!天宮財団主催だけあってレベルが違うぜ!大阪、兵庫、京都関西の天才が16人も集結だ!全員超エリートだぜ」
俺は視線をパンフレットに落ながら、静かに問いを投げた。
「久条さんはその中でも、去年は全国準優勝だったんだろう?」
山中は、あたかも自分の手柄のように誇らしげに胸を張る。
「ああ!一年生でだぜ?怪物だよ!だが今年は分からねえらしい。東京に関東代表で久条さん以上の規格外の才媛がいるって噂だ!」
俺は、ぽつりと尋ねる。
「その規格外の才媛ってのは去年は何をしてたんだ?」
山中は記憶を掘り返すように、眉をひそめた。
「確か、去年は留学中で不参加だったらしいけど」
俺は肩をすくめるように言葉を返した。
「なるほどな」
ミラー:「女王の牙城に、まだ見ぬ強敵か。女王の宣言どおり行くのか?」
俺は再び、パンフレットに目を落とす。
◇関西大会◇会場:天宮記念ホール
大阪代表4名、兵庫代表3名、京都代表3名、
奈良代表2名、和歌山代表2名、滋賀代表2名
16名で勝ち抜きトーナメント
11月22日(土)関西大会1回戦/16名から8名(全8試合)
11月23日(日)関西大会2回戦から決勝まで(全7試合)
その時だった。
俺の隣の空席に二人の少女が静かに座った。
俺は息を呑んだ。
一人は図書委員長の一色栞。
そしてもう一人は白瀬ことり。
奏:「ミラー。なぜ彼女たちがここに?」
ミラー:「知るか。お前の脚本にはなかった展開だ」
ことりはただ膝の上で手を組み、舞台をじっと見つめている。
彼女がこんな騒がしい場所に来るはずがない。
一色栞が連れてきたのか。
俺の思考が混乱する。
戦場にいるはずの俺のすぐ隣に、俺が帰るべき聖域が存在している。
そのあまりにも残酷な対比。
やがて司会者が舞台に上がり、開会を宣言した。
その時、隣から一色栞が俺にだけ聞こえる声で囁いた。
その声はどこまでも静かで、そして冷徹だった。
「言葉は時に刃よりも深く、人を傷つけます」
「面白い見世物ですわね」
彼女は、その言葉通りディベートではなくただそこにいる人間たちを観測していた。
俺はこの大会が、ただの競技ではない魂の殺し合いになることを改めて悟った。
俺がことりたちの登場に、動揺しているとすぐ後ろの席に、聞き慣れた声が響いた。
「こんにちは音無くん!」
振り返るとそこにいたのは柴田隼人、斎藤律、そして結城莉奈とその取り巻きの美尾敦子、福寿由紀乃たちだった。
彼らもまた、女王の戦いを見届けるためにここへ来たのだ。
柴田が興奮したように言う。
「すげえな!関西中の天才がここに集まってるって感じか!」
だが斎藤は冷静だった。
彼はパンフレットを指差しながら、厳しい現実を口にする。
「油断はできない。この関西大会から全国へ行けるのはたった二人だ。16人の天才の中からたった2人」
その言葉に結城が息を呑む。
「ええ。亜里沙は去年の全国準優勝者。さらに全国大会は地元京都での初開催。こんなところで負けるわけにはいかないわ。絶対に」
その会話。そのあまりにも重いプレッシャー。
ミラー:「たった二つの椅子を巡る16人の殺し合いか。面白いゲームだな」
奏:「ああ。そして女王はそのプレッシャーの中でどう戦う?」
俺はこれから始まる知性の戦争を
そしてその中心に立つ久条亜里沙の姿をただ静かに観測し始めていた。
舞台の幕が今静かに上がろうとしていた。
だが、この戦争に完全な勝者などいるのだろうか。
コメント
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おお、第71話読んだわ!「聖域」と「戦場」が隣り合わせになったの、めっちゃ胸に来た…。ことりさんがこんな場所にいるだけで空気変わるのに、一色先輩の「言葉は刃」ってセリフが静かに重くて。ディベートがただの競技じゃなくて「魂の♡♡♡合い」って表現、めっちゃ刺さった🔥 女王・久条さんがどんな舌戦を見せるのか、続きが気になりすぎるわ!