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第2話 「九ツ山」
石動が研究所でのバイトを初めて1ヶ月経った頃 研究所内で大掃除をしていた。
「この本はどこに置きますか?」と石動は分厚く古代文字のようなものが書かれた本を持っている。「それはこっちの棚で、そっちの人形はこっちね。」とテキパキと収納場所を仕切るリア。
片付けも佳境に入り「休憩ターイム!!石動くんも夕食食べてくでしょ?」とリアは夕食の用意を始めた。
「はい、なんせ一人暮らしなもんで…」と少し笑って石動は言った。「偉いね〜!高校生なのに親元離れて暮らすなんてソンケーだよ〜」とリアは少し棒読みじみた話し方をして石動はとある質問をした。
「そういえばリアさんってなんで心霊研究所なんて胡散臭…変わった研究所を始めたんですか?そうそう心霊研究所なんてないでしょ?」と石動は聞いた。するとリアは「う〜ん…理由か…」と少し困ったように続けて「まぁ石動くんは今後助手としてお世話になるし…話しとこうか…ボクとボクの父親を話。でも何聞いても驚かないでよ!」と少し大袈裟にも聞こえるが石動も若干の緊張を持って話を聞き始めた。
あれは、22年前に遡る。
リアの父親、森山 光明(もりやま こうめい)は考古学者で民俗学なども研究していた。光明は恐山の調査に単独来ていた。山を登り始め中腹まで来たあたりで普通なら聞こえるはずもないが赤ん坊の声が聞こえてきた。光明は少し驚いたが声の聞こえる所まで行くとそこには少量だが皮膚に鱗がついていて珍しい目の色をと髪の色をした赤ん坊が居た。光明はそのまま見て見ぬふりをしようともしたがその赤ん坊のことがどこかほっとけないと思い連れて返って来た。明らかに人間では無い赤ん坊だが光明は少しだけその赤ん坊の正体の目星が着いていた。
『青龍』。この子は青龍赤ん坊なのでは?
青龍とは四神の1柱で東の方角を守るものともされている。逸話等は省くが主に水辺を統べるものでもある。
光明は赤ん坊に『リア』と名ずけた。
そう確信したのは様々な要因があり、赤ん坊ながらに優れた身体能力をもち普通歩き始めるのには1歳前後からと言われているが赤ん坊は光明が家に連れ帰ってから約1週間で歩き始めた。また言葉を話すのも早く1歳すぎた頃には3歳児と大差ないまでの語彙力になっていた。さらに驚くべきことは圧倒的な身体の丈夫さ普通の子供なら泣いてしまう怪我する状況下でも傷ひとつつかなかった。そして決定的なのが水を操る能力を持って居た。現在のリアは制御ができているが幼き頃のリアは蛇口からの水や雨などを操り時を止めたようにその場に固定させることも出来た。さらに雨を降らすこともできていた。光明は「自分に神にも等しいこの子を育てることができるのか?」そう疑問にも思ったがリア同様好奇心と優しさが勝ち青龍の子リアを育てることを決心した。その後は順調に歳を重ね普通の人間の子と同様に学校にも通わせ今に至る。
「まぁまずはボクの生い立ちだったけど…正直怖い?」とリアは少し不安そうな顔をし、石動に聞いた。
すると石動は驚いた顔をして「いや、怖いとかなくて…逆に良かったと言うか…」続けて「正直辻褄が合うなと…だってリアさん居なくなったと思ったら急に後ろから現れたり絶対それ怪我するだろって時も無傷な時あるし…何よりすごい量の食事取るし…」と言った。リアは「いや!食事はあんまり関係無い!!はず…」と声を荒らげた。「あ、でも最初鱗があるって言ってましたけど…?」と石動が聞くと「あー!それはね、自分の力で完全に人間に近い見た目にしてるからだよ。でも耳の形成は出来なかったんだよね〜」と髪を掻き分け見せて来た。確かに普通の人間にはある耳がリアには無くその部分にはキラキラと鱗が見える。
「なるほど」と納得した石動。
「あ!話戻しますけどなんで研究所を始めたんですか?」と再び質問を続けた。リアも「そうだね!そこ1番重要か〜」と再び過去の話を続けた。
2年前とある事件が起こった。
それは光明が研究所近くの九ツ山への調査に行った時だった。恐山の時とは打って変わって九ツ山は天候が変わりやすかった為光明含め5名での調査となった。当時はリアも誘われていたがあまりこの時は考古学等には興味が無かった。
「気つけて行ってきてよ〜!九ツ山って結構避難者多いみたいだし!」と登山の準備を手伝っていた。
約2日間の調査。
リアも予定通り帰ってくると思っていた。
はずだった……
3日経っても全く帰って来ずリアは光明の大学へと足を運んだ。すると同行していたひとりが泣きながら「森山さんは…霧に飲み込まれて…」と単語に近い形で当時の事を話した。要約すると、1日目の夕方に先頭を歩いていたはずの光明は突如霧飲まれて消えていったとの事だ。それ以上質問をしても答えにならずリアは悲しみとどうしてもっと早く伝えてくれなかったのか?という怒りで大学を後にした。
リアはその後父を探すために山に入ろうと決心した。確かにリアは人間では無い。だが今の知識量、力では数多くの都市伝説、遭難者を残している九ツ山には挑めない。父が残した古文書、郷土文献を片っ端から読みそれ以上に様々な知識を身につけそれだけでは足りないと『心霊現象研究所』という看板を掲げ相談に乗りつつ父への行方の手がかりと青龍としての力を身につけるため自宅を研究所に変えた。
「なるほど…父親を探すため…単に好奇心でという訳では無かったんですね…」と石動は少し暗い表情をした。
「まぁ、根本はそうなんだけど相談に乗ったり色々勉強してたら楽しくなっちゃって〜」と声は明るいが出会った時のように生気のない目になっていた。それに気づいた石動はまた少し驚いては居たが我に返り「俺も微力ですが手伝いたいです!一緒にお父さんを探しましょう!」と暗い雰囲気に喝を入れるように言った。するとリアの生気の無かった目が輝き始めた。「ありがとう。ひとまず今は山に飲まれない様に力をつけないとね!」と元気に言った。
石動もリアに元気が出たことが分かり安心し頬が緩んだ。
リアが「ってもうこんな時間!今日は泊まってきな!」と2人は夕食を食べ1日が終わっていった。
第2話 「九ツ山」完