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松下一成
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「え、灰田先生の噂知ってる?」
「あー、なんだっけ?女に逃げられたヤツ?」
灰田 仁
クズで有名なうちの担任
女に逃げられたとか、酒で暴れたとか変な噂しか流れない。本人は肯定も否定もしない
「はい、みんな席ついて」
「チャイム鳴ったぞー」
教卓にたっているのは噂の本人、灰田先生
慣れた様子で授業が始まった。当たり前に遅刻してるけど
「ん、じゃあここまで。明日テストやるから復習しとけ」
テスト、この単語だけでクラスが一気に騒がしくなる
大半がテストに対する文句の声、後はテストの存在を教えてくれたことへの感謝の声
「はいはい静かに。日直号令」
あんな感じだけど、先生はだいぶ顔がいい
教え方も丁寧だし、人気はある方だ
「いやー、灰田ちゃん今日もイケメンだった」
「やっぱ板書の時の手がたまらないよね〜」
隣からそんな声が聞こえる。先程まで噂話をしてた2人組だった
私は、別に嫌いではない。どちらかと言うと、教師としていい印象を持ってる
噂はどうでもいい。所詮噂でしかないんだから
辺りはもう橙色で、夕日がやけに眩しかった
こんな時間に学校に向かっているのは忘れ物をしてしまったから。明日提出の課題を置いてきてしまった。
教室に着く、ドアを開けようとしたところで人影に気づいた
中にいるのは灰田先生だった
なにかの採点をしているようでこちらには気づいてない様子。ドアを開けるのがなんだか気まずかった
立ち尽くして、数分。彼の視線がこちらに向く
「ん?上原じゃん。どーした」
「はいっておいで」
「忘れ物しました」
そういうと、「そっか」そう言いまた作業へ戻っていた
紙をめくる動作が何故か魅力的に感じた
「あぁー……惜しい、」
「ぉ、満点……」
時々聞こえる独り言とか誰のに対して言ってんのかなとか気になって仕方がない
とっくに忘れ物は見つけたのに帰るのが名残惜しかった
「……すき」
気づいたら口走ってた。明らかに私の声で、周りには誰もいないから誰かに擦り付けることもできない
焦って先生の方を見ると向こうも気づいたらしく目が合った
「ん?なに?」
先生がこっちに近づいてきた
「すき?俺の事?」
顔の距離は約15cm
服が触れ合いそうで触れ合わない。そんな距離
「でも俺さ、教師だから。お前は生徒な訳」
「あと1年待ってて、な?」
あぁ、勝てない。どう言い訳をしようかそんなの思いつく暇もないぐらい迫られる。あと1年、この距離感に耐えなければいけないのだ